イラン暦1400年メフル月8日
ブログに載せる写真を探すのにカメラロールを遡りながら、九月ほど始まりと終わりの空気の印象が異なる月もないよなぁと思った。寒い季節が好きなので、これから布団やニットや好きな人に包まれる喜びに浮かれています。
遅めの夏休み
夫と休みを合わせてのんびり過ごした夏休み。服や家具を買いに行ったり、義母とコストコへ行ったりした。少しくらいは特別な思い出が欲しいなと思い、電車に乗って長瀞へと遠足へ出かけた。川下りや栗拾いみたいなイベントはなしで、河原や山の上でただただ自然の空気と音を感じて癒されてきた。携帯電話を持たなかったころ、あるいは携帯電話で出来ることがそんなになくて、四六時中画面を見つめるなんてことがなかったころ、人はどうやって時間を過ごしていたんだろうねぇ、なんて話をした。ぼんやりと過ごす時間がもっとあってもいいはずなのにね。
そろそろ車を買おうかなんて話も出るけど、電車や汽車に乗って遠出するのも相変わらず楽しい。夫もそうだから、おやつやお弁当を買って遠足や日帰り旅行に出かけるだけで良い思い出になる。
食べたもの
写真に残っているのは甘いものばかり…。自分で作った、と言ってもとても簡単なものだけど、蕪の葉を茹でて刻んで少し塩をふったのと、金ごまをいっしょにごはんに混ぜて食べるのが大好きで。今月はそれをよく食べたのと、夫が作ってくれた豚汁がおいしかったなぁ。義母がコストコで買ったサーモンをお裾分けしてもらって食べたのも面白かった(生のサーモンってほとんど食べたことないので)。
・Litusのイタリア菓子
前々から気になっていた新富町のLitusでイタリア菓子をいろいろ。
トルタパラディーゾはロンバルディアのシンプルなケーキ。
ピスタチオや松の実、ドライイチジクが入ったブッチェラートはシチリアの郷土菓子。
あとはトルタクレモナというアプリコットジャムが入ったケーキに、ボンボローニも。その日の予定的にカンノーリは持ち帰りできなかったので、次こそは。
例のごとくイタリアの友人に写真を送ったのだけど、トスカーナっ子の彼はシチリアのブッチェラートをたいそう羨ましがっていた(トスカーナにも別のブッチェラートというお菓子があるんだとか)。
・Megan - bar & pâtisserieのチーズケーキとエンガディーナ
渋谷へ行ったときに、リニューアルした東急フードショーにMeganが出店しているのを発見。以前食べておいしかったエンガディーナが買える!とうれしくて飛びついた。あとはその日のおやつ用にチーズケーキと夫にはテリーヌショコラを。料理やお菓子名に疎い夫にテリーヌショコラを説明するために、「ガトーショコラをぎゅーっとした感じのやつ」と送ったら伝わったのが面白くて笑ってしまった。エンガディーナはカルダモンが効いていてとても好みの味。
・buikでお茶とケーキ
久しぶりにbuikへ。お茶のセレクトも豊富な焼き菓子もどれも食べたくなるお店。この日はレモンとアーモンドのケーキに武夷岩茶を。
・SINCERITAのジェラート
夏にジェラートを通販して家で食べるのが好き。一昨年はシンチェリータ、去年はアクオリーナで今年はまたシンチェリータ。先月届いたのをちまちまと食べていて、今月で通販分は食べ納め。初めて食べたインディアンサマーというフレーバーが、ココナツミルクにカシューナッツとカルダモンが加わった印象的な味だった。
・La Napoliのアイスクリーム
高級版ピノといった趣。パッケージのプリントもかわいい。ナポリには思い出がありましてね、夫が子供のころの話。母親の仕事の用事で出かけた時に、帰りによくナポリに寄ってジェラートを食べていたらしい。椅子に座って足をぶらぶらさせながら「つまんないけどアイス食べられるしいいや」と仏頂面で食べていたんだろうなぁと想像するとかわいくてたまらない。そのお店には、一緒に暮らしはじめてからわたしもよく一緒に行ったのだけど、残念ながら閉店してしまった。閉店を知ったときのわれわれの悲観に暮れたさま。小さな夫の思い出まで遠くなってしまったように感じた。今はこうやってナポリのアイスを食べながらなんとかやっている。
・穴子の炭火焼き
これはある日あるイタリアンバルで。料理はどれもおいしくて良心的な値段設定、厨房の様子もきびきびしていて見ていて気持ちよかった。特においしかったのは炭火で焼かれた穴子。ホースラディッシュとの相性が抜群だった。
お菓子もそうだけど、最近はもっぱらイタリアな気分。オーソドックスじゃない攻めたエスニック料理は夫が苦手なので、和食やフレンチで新しいお店へ行ってみたいと思っている。夫よ、どうですか。
読んだもの/観たもの/聴いたもの
・カルミネ・アバーテ『海と山のオムレツ』
アバーテの作品を読むのは二作目で、どちらも作者の経験を色濃く反映した自伝的な小説だと思う。この『海と山のオムレツ』はさらに食文化を絡めて自分のルーツを語っている。アルバニア系イタリア人コミュニティの郷土料理に注目しがちだけれど、それだけではなくて、節目ごとに登場する国や州も食べ物も異なる。それがすべてルーツにつながる。その時々に主人公が過ごす土地の風土を見つめる視点も面白いなとわたしは思った。
・ハサン・ファジリ『ミッドナイト・トラベラー』
アフガニスタンの映画監督一家が国内で死刑宣告を受け、自国から逃れ難民保護を受けるために欧州を目指す過程をスマートフォンで撮影したドキュメンタリー。時に違法な手段を取りながら、文字通り命懸けで旅を続ける様子が記録されている。一時的に滞在する難民キャンプでも人としての尊厳を傷つけられるような扱いを受ける様子に胸をつかれる思いがした。時折談笑する娘さんや配偶者の姿も映されていて、今ここで安全に暮らす自分と同じ生活を送れるはずなのにと、その不平等さに思わず辛くなってしまった。
この映画を観た数日後、Saint Abdullahの"Stars Have Eyes"というアルバムを聴いていた。映画の趣旨は、このユニットが掲げる「ムスリムやイスラーム信仰への誤解への対抗」とは異なるし、アルバム作成の背景にあるシリアの化学兵器使用に対する米国の批判とも直接的な関係はないけれど、悲しみや恐れ、怒りの入り混じった感情を表現しているという点では同じではないかと単純に思った。そして、映像の中で平野や荒地、森の間を夜な夜な駆け抜けて移動する彼らを、アルバムのタイトルのように星たちが見ている様子を思い浮かべた。自分の無力さに肩を落としていないで、コツコツとでもできる支援をしたい。
・アリ・アスター『ミッドサマー』
言わずと知れた昨年の話題作。大学院で授業を受けていた教授が、まさに北欧の夏至について著書の中で文章を書いていたこともあって、もともと夏至祭に強く興味を持っていた。その知識をトレースするような気持ちで観たからか、国の固有名詞を出しながら、その伝統や文化を歪んだ形へと変えたことに対してわたしはどうしても違和感が拭えなかった。その点がまだうまく消化できていない。一方で、インパクトのある祝祭から離れてみると、登場する人たちの心の通えなさも描かれているのかなと思ったし、そこの不気味さも興味深かった。心通わすハートフルなストーリーにも感動するけれど、他人って理解できないよね、怖いよね、と思える作品にも共感できる。
・Ghostly Kissesのライブ
たまたまYoutubeでおすすめに出てきて聴いた。自分の目に映るもの、目に入るものはなるべく自分が美しいと思えるものだけにしたい、なんてことをちょうど考えていたから、その気分にもはまって聴いていて心地よかった。こだわりが強いのは自分の長所でもあり短所でもあるなぁと思う。今の生活はすべてが満足がいくものでもないし、美しいものばかりに囲まれているとも言えない。少しずつ雑音を減らしていきたい。
我が家のもふもふは今日も甘えん坊。
最後にいくつか今月のツイートをハイライトで。また来月会いましょうね。
仮眠とってる夫の口にカカオサンパカのミルクチョコレート放り込んだら寝ぼけながらもぐもぐしてた
— meigu (@mkrn829) 2021年9月3日
夫とレズギンカの動画見ながらウオーって言ってた
— meigu (@mkrn829) 2021年9月5日
知らない街へ旅行へ行って、夜にふっとわたしなんでここにいるんだっけってなるやつしたい
— meigu (@mkrn829) 2021年9月17日
夢でまたテヘランにいて、昔住んでた地区で「もうおじいちゃんもおばあちゃんもいない…」っておいおい泣いてた
— meigu (@mkrn829) 2021年9月19日
何か食べても何か買ってもイランへ行かなければ埋められない隙間
— meigu (@mkrn829) 2021年9月24日