イラン暦1400年デイ月5日
この記事を投稿するころ、もう東京にはいないはずだ。冬の裏日本のどんよりとした天気になぜだかうれしくなる自分は、海沿いの町に向かって車中の人となっているだろう。
ヤルダー モバーラク
今年も冬至に柘榴を。そしてハーフェズ詩集で運勢を占う。夫の方は「過ぎた行為や努力を手放して、これからは過去の償いに目を向けるのだ」という内容で、わたしの方はというと「ひたすらに前進せよ」と書かれていた。
モバーラク(おめでとう)と言いながらも、わたしはこれから夜が短く日が長くなっていくのがさみしくもある。深い夜にあかりを灯して大切な人と過ごすこのヤルダー(冬至)の夜を特別に思うからだ。
食べたものと出かけた先
・病院、定食、月光茶房の日
午前中に病院へ行き、池袋へ移動。
先月に続きTeishoku 美松でおむすび定食、後ろに並んだおばさまとお話をする。
ジュンク堂書店池袋本店で気になる本を何冊か立ち読みし、求めていた本を購入。
午後一で二軒目の病院。その後夫と月光茶房へ。HIGUMA Doughnutsを買ってくれていた。
初めてマサラティーを頼んだ。冬はスパイスの効いたチャイもおいしい。
・大好きなお姉さんと二年ぶりの再会、雨の夜、水道橋
この状況下で誰かと会う約束をするのは勇気がいる。街中へ人を誘い出すことへの不安もそうだし、相手のスタンスも尊重したい。声をかけようか迷っているうちに二年ぶりの再会となった。
イマーム・フセインの殉教祭がある、ムハッラム月のような色合いの格好をしているなと後で気づいて自分で笑う。
水道橋のムンド不二へ。たまに流れてくるTwitterの写真に、イラン料理やグルジア料理がオンリストしているのを見て気になっていたのだ。お目当てのゴルメ・サブズィーはなかったけど、サラダもコフタもおいしかった。
何より大好きな友人と会えたことがうれしくて、とにかくたくさん喋って笑った。趣味が合う友人や、センスに憧れる人というのはなかなか出会いにくい。そもそもわたしは友人が少ないので、こうやって楽しく過ごせる人はひとりひとりが特別な存在なのだ。
・プレゼント探し、読書とお茶
我が家はクリスマスプレゼントも誕生日同様、内緒で購入する。一人で渋谷へ出かけた。街には幸せそうな顔をする買い物客が多くいた。どんな理由でも、贈り物をするときは贈る側も顔が綻ぶものではないですか。
今年も東京の冬は暖かい。この日は厚手のニット一枚でちょうどいいくらいだった。コートで肩が凝る軟弱な身体なので(そして暑がりなので)、これぐらいでいいと思いながら、冬は雪が降って寒い方が好ましくも思う。雪国の出身だからでしょうか。
買い物を終えて神南のマーガレットハウエルでお茶をする。紅茶の出され方(淹れ方、味ではない)には一家言あると自負している。いくつかの好きなカフェのひとつ。
・人生には紅茶が必要
Instagramで、英語とペルシア語を混ぜて#zendegi_needs_chayというハッシュタグを付けて投稿している。人生にはチャイが必要。chayはインドのあのスパイスとミルクのチャイではなくて、紅茶や広く茶の意味で。
この日の夫。上背があるからか、フォルムなのか、肌や髪の質感なのか、比較的なんでも着こなす彼がうらやましい。最近はダンディーな格好に舵を切りたいらしい。
・ニョッキとサンギャクみたいなピザ生地
ブログやTwitterでも何度か載せているニョッキ。ここは夫の先輩が修行をしたピッツェリア。最近はイタリアンの中でも郷土料理に特化したお店や、ナチュールワインなどに力を入れたお店などが増えている。ここはそうした特色はないけれど、いつ行っても何を食べてもおいしいという点で貴重なお店だと思っている。
食後にサービスされる手作りのビスコッティがわたし好みのやさしい味で、だけどもちろんかたくて、おばあちゃんになってもビスコッティを食べ続けるために歯を大事にしますね…と毎回思う。
ここのピザの生地は、なぜかイランのナンの一種、サンギャクに味が似ている。これにバターを乗せて食べたい…と思っていたところ、ピザ生地の塊を焼いたものを販売していると知って大喜びした。発酵バターを乗せれば、ほぼイランの朝食の味。(チーズ派の人にはフェタチーズがおすすめ。ハーブをたくさん乗せてね。)
・わたしたちの慰労会
今年は25日に食事に行くことにして予約の電話をかけたら、見事お気に入りのお店全てに振られてしまった…。それならばと、行きたいリストに長らく入れていたパスタのお店へ。
カウンターに座って料理が仕上がっていくのを見るのは楽しく気持ちよかった。
帰宅して朝に焼いておいたガトーショコラをデザートにした。今年は本当に本当に夫に支えられた一年だった。わたしも彼を励まし肯定する存在でいられているだろうか。次の年も二人でのんびりとマイペースに暮らしていきたい。
・甘いものたち
坂田焼菓子店 BLACK AND WHITE COOKIE BOX
年末の特別お菓子が今年は買えた!!!!!クッキーなんだけど、すごく大きくて食感はスコーンやホットケーキに近い感じ。もともとはドイツ発祥でドイツ移民とともにアメリカへと渡ったと言われるこのクッキー、義祖父もドイツ系なんだよなと思い出しながら食べた。(義祖母はよく「◯◯はジャーマンやけぇ〜」と言っていたっけ。)
十一月に帰省したときに母がくれた地元のケーキ屋さんのマカロン。この佇まいを見てほしい。ケーキを買うときにも、箱にこの包み紙がかけられ金色の紐で結ばれる。子供のころからその箱を膝に大事に乗せて車で帰宅する時間が好きだった。
DEMEL 生クッキー
前から憧れていたのですよ。チョココーティングの下のふわっとしたクリームも、ナッツのクッキーもどれもおいしかった。果物は洋酒の香りがしっかりして、お酒に弱いわたしはこれだけで酔ってしまいそうだった。これくらいの酔いならウェルカムです。
uRn.chAi&TeA チャイのパウンドケーキ
普段はストレートの紅茶ばかり飲むけど、今月はマサラな方のチャイの気分だった。外で何度か飲んだし、このパウンドケーキはスパイシーなケーキとミルク風味のグレーズが合わさった味がとても気に入った。好物の無花果が入っていたのもうれしい。恵比寿のお店にはまだ行ったことがないので近々訪ねたいなと思う。
読みかけの本/読みたいもの/観たいもの
・多田智満子『魂の形について』
先月仲良しの後輩に勧めてもらい早速買った。非科学的だけれど、こういった魂やあの世この世や祈りの話に心をひかれる。後輩とは同じペルシア語科だから、そこに民俗学が専門の先生がいたからというのもあるかもしれない。この本を読み終えるころ、また手紙を書いて彼女と出かけたいなと思っている。
・ジョージア映画祭
来月から一ヶ月にわたり、神保町の岩波ホールでジョージア映画祭が開催される。一挙33作が公開されるとのことで、再度観る作品、新しく観る作品、どちらも楽しみで今から心躍らせている。
このブログはイラン暦で綴っているので、西暦での年末の言葉を書くのもなとは思いつつ…来年はより自分の好きなことに時間を割いていきたいなと思う。今はなんだか散れぢれになった力や時間を寄せ集めてやりくりしているような感覚がある。余裕を持って過ごせたらいい。
星を付けてくださった方のブログを見に行って、そのブログの虜になったということもあった。他のSNSでもそうした出会いはあるかもしれないけれど、ある程度のまとまりの文章を読んでもらい、自分も相手のものを読む、という体験は改めて良いなと思う。
どうしても、片手の中にある携帯電話に気を取られて、日々の時間を細切れにしてしまいがちだけれど、勉強や趣味や誰かと過ごすこと、それらをもっと記憶に残るよう大事に取り組みたい。そして、こけおどしな人間にならないよう、ここでは素直に自分の気持ちを綴っていきたいと思う。
去年も冬至の話を書いています。