Ordibehesht 1401

 イラン暦1401年オルディーベヘシュト月29日

 少し遅くなった今月のブログ、誰か覗きに来たりしていたのかな。ここを見に来てくれている人に対してはささやかな親愛の気持ちを感じています。みなさん、お元気ですか。

 

神保町の地下ロシア、世界のブックデザイン展

仲良しの後輩とロシア料理を食べに行った。後輩と言いつつわたしはもう同い年の友人のように慕っている。年下気質が抜けなくて、年上らしい態度が取れない。誰にでも甘えてしまう。ボルシチを啜りながらおしゃべりをしながら、人生はいかようにも転がるものだなぁと思った。たくさん歩いて(一緒にロングウォークができる友人がラブ)、凸版印刷の博物館で開催されていた世界のブックデザイン展を見に行った。こじんまりとした展示だったけれど、一冊一冊手に取りながらじっくり見て、予想より充実した鑑賞になった。色の組み合わせ、段の組み方、紙質…やっぱり紙の本が好きだなぁ。

 

ドライブと緑の摂取

決まった行動範囲からなかなか出られないことにフラストレーションが溜まっていた。子供のころから衝動的な移動願望がある。車を借りて普段行かないエリアへ行くことにした。

 

等々力渓谷

渓谷に来ていながら水辺の写真を一枚も撮っていなかった…。お弁当を作って持参して、小さな川沿いで食べた。射干の花があちこちに咲いていた。わたしは射干がいっとう大好きなのだ。

夫は前々からここにわたしを連れてくる計画を立てていたらしい。去年の誕生日に行こうとしたけれど、下見の時点で暑くて汗をかいて仕方なくて(誕生日は8月、下見は7月にしたらしい)断念したのだとか。今回は最高の季節に行けたのではないだろうか。23区の涯てのオアシスだった。

 

オーボンヴュータンにも寄ったよ。きらめくフランス菓子の数々やその世界観にも吸い込まれたけど、「商品を選んで中央レジでお会計して商品を受け取る」式の買い物に感動した。イランのナッツ屋や薬局で経験したことのある、あれ!とひとりで心躍らせてしまった。

ギモーヴが好きで、もちろん好きだから買ったのだけど、イランのギャズというお菓子に似ていて思わず。原材料も近しいのかなぁ、ギャズは薔薇水を入れるから薔薇の香りがして、ナッツは大体ピスタチオと決まっている。

どう見てもギャズだよねぇ?

 

・中野 Lou と哲学堂公園

カフェ巡りの趣味はないけど、幡ヶ谷のPaddlers Coffeeが好きです。だから中野に出来たLouも気になっていた。朝ごはんを抜いてブランチしに行ってみた。その日から始まったというスープがとてもおいしくて、なぜ自分にはこのようなスープを作る才能がないのか…と軽く落ち込んだ。それぐらいおいしかった。PaddlersやBulpenよろしく、什器や器もかわいくて居心地がよかった。

デザートにケーキを買って、少し離れた哲学堂公園へ向かった。初めて行ったけどいいですね、ここ。人が多くなくて時間がのんびり流れていた。崖下にある川に向かって広がる公園は散歩するのにちょうどよい大きさで、たいへん癒された。

 

その他

・オレンジを食べたり皮を煮たり

去年いただきもので食べた福岡県産のブラッドオレンジがすごくおいしかったので、今年は自分たちで注文した。モロとタロッコという二種類。去年は皮を使ってオレンジピールを作ったのだけど、今年はそれに加えてジャムも煮た。本当にわたしはオレンジが好きだよ。

 

もうシーズンは終わっちゃったけど、来年どうですか。おすすめです。

nokokubotafarm.jimdofree.com

 

そういえば、オーボンヴュータンでもオレンジのタルトを買っていた。

 

・麗しの汁なし坦々麺

気になっていた神楽坂の中華へ行った。しっかり辛いけど麺が細くて上品な坦々麺だった。お店も上品で、他に頼んだ蟹炒飯もつやつやの酢豚もおいしかった。夏になると蒸し茄子の冷麺が出るらしいので絶対に食べにいかなければいけない。

 

・限界の日のおやつ

わたしは労働などしとうない、と思いながらベランダへ出た日のおやつ。

 

カルチョーフィのピザ

季節ですねぇ、アーティチョーク。イタリアへ行ったとき、友人から茹でただけのアーティチョークの食べ方を教わったのだけど、いまだにどう調理して、どこが可食部なのかよく分かっていない。

 

観たもの/読んだもの

鏑木清方

有休を取って東京国立近代美術館鏑木清方展を観に行った。わたしは清方のことは、鏡花の本の挿絵を描いていた画家とだけ認識していたので、美人画以外のさまざまな作風の作品にとても感動した。あまりに繊細で、それでいて燃えたつような美しさを放つ絵の数々。特別印象に残ったのは、鏡花と自身を描いた「小説家と挿絵画家」で、鏡花が本当にそのままだった。線が細くて、ぴっちりと撫で付けた髪型に神経質そうな顔。ひと目見て思わず笑ってしまった。これを書きながらもう一度観たい、図録を買うべきだったかもと後悔し出している。

 

泉鏡花「竜潭譚」

ツツジの季節になると毎年この作品を思い出す。まさしく生まれて初めて読んだ鏡花の作品。第一の章題が「躑躅か丘」で、紅い紅い、それは紅い雪のようなツツジの花に囲まれながら山道を進んだ幼い少年が、摩訶不思議な体験をする話。

今年は特に紅いツツジが気になっていた

東京にもいたるところにツツジがあるけれど、その存在が当たり前すぎて、みんな花の美しさを見過ごしている気がする。夜道を歩くとき、暗闇の先にツツジがあると分かるのはその芳香のおかげなのですよ?どうしたってわたしは花や草木に思い入れを込めすぎる。

 

 

ぺっちゃん3歳の誕生日

4月29日はぺっちゃんのお誕生日。こんな赤ちゃんみたいなのにもう3歳なのか…。発光する白いふわふわ。いつまでも甘えていていいからね。安心して暮らせるようにがんばるよ。

 

今が一年の中でいちばん体が心地よい季節かもしれない。湿気に弱いので。天パだし。今限りの緑の美しさによくよく目を凝らしてほしい。緑が作る影、幹のシルエット、葉が擦れる音、すべてに生を感じる。