Tir 1401

 イラン暦1401年ティール月10日

 

この熱気の束縛から解き放たれたい、それしか考えられないような外気温に参ってしまっています。もちろん家の中では冷房をつけてはいるのだけど、暑さのせいで外出を控えるというのはなんと口惜しいことか。それでいて、冷房が入っていない廊下や自室の暑くもなく、体の芯が冷えることもない、生ぬるい空気が好きでもあります。両親は仕事の関係で夏は家にいることが多く、子供ながらに一緒に過ごす時間が増えてうれしかった記憶によるのかもしれません。アイスやジェラートの常備はできていますか。

 

今年の買い物

ブログにはあまり載せられていなかった購入品。あれやこれやと調べたり、それなりに思い入れがあって買っているので自分が選んだものについては結構喋れてしまう。オタク気質のせいもありますが。

 

・ゴールドのピアスとアイウェア

ぽってりとしたデザインはSOPHIE BUHAIのもの。春に髪をばっさりと切ったら大きめのピアスがつけたくなって。ほかの二つはInstagramで見つけたアメリカの学生さんが経営しているブランド。つけっぱなしにする用にソリッドゴールドで出来たものを探していて、ちょうどよいデザイン、値段だったので買った。

 

以前シルバーのフレームを持っていたんだけど、だんだん服装と合わなくなってきたのでそちらはメルカリで売ってゴールドのものを新しく買った。これはOliver PeoplesとThe Rowのコラボもので、The Rowだけど値段は普通で拍子抜けしたやつ。HIGHTREEというモデル名がなんか良いですよね。淡いブラウンのレンズを入れた。持っているフレームは全て矯正用でしっかり度が入っています。

 

・こういう色が好き、な服

OVERNEATHのアンダーウェアはTeal Blueって色だったかな。グレーがかった青色が好きで、それがさらに緑色に傾いたりする色も好み。見つけると自分の色だと思って手に取りがち。これは今年の色みたいで一緒に出ているブラウンも買おうかと思っている。

 

これはどちらかと言うとグレー寄り。写っていないけど袖の形も含め絶対似合うからと夫にすすめられ唆され購入した。LEMAIREです。

 

・TEKLAのルームウェア

今まさにMatchesでものすごいセールをしている。特に夏はルームウェアって適当な着古した服を着がちで、気に入ったものを着て気持ちを上向かせたいなと思い買ってみた。まんまと気持ち上向いてます。バスローブも破格になっているのでもう一枚買い足そうかなと思っている。

 

・ブルージーンズ

自分の身体の形が好きではない。本音を言えば、成長しきる前の線が薄くて骨ばっていて縦に長い少年のような身体になりたい。自分の身体から曲線を取り除いてしまいたいとよく思う。そんなわけでデニムが似合わないのですが、どんな運命なのかデニムを履きたい欲望に抗えない。SUPER DOT MARKETでたまたま自分のサイズを見つけたので。アウトレット価格+プライベートセールだったのでいいかな、という言い訳を添えて。餅は餅屋、デニムはデニム屋でLevi'sやAcne Studiosが好きです。

 

・憧れのチェア

Faye ToogoodデザインのROLYPOLYチェア!!!小さめのソファを手放して、夫とそれぞれが欲しいチェアを買うことにした。わたしのはこちらです。大事にするぞ。ぺっちゃんが乗ってもかわいいんだろうなと期待していたのだけど、まだあんまり乗ってくれない…。

 

読んだもの/観たもの/聴いたもの

・ショクーフェ・アーザル『スモモの木の啓示』

マジックリアリズム的手法と入り乱れる時系列に惑わされながらも面白く読めた。だけども永遠に考えていて答えが出ない問いを読後から今もまだ繰り返している。「芸術や文化は、思想や、あるいは正義を伝えるための道具なのか?」作品は作品として作者から切り離して鑑賞すべきなのか、作者は作品を通じて特定の思想を伝搬させようとしているのだろうか。イランは日本よりもはっきりと、インテリがインテリとして存在している。当時、"先進国"から留学しているわたしの周りにはそんなイラン人が比較的多かった。特定の階級の人たちとばかり付き合って、何か見落としているのではないかと心がざわつくことがよくあった。東西の名著がずらずらと登場するこの物語を読んでいるとそればかり思い出してしまった。自分の創作物に向き合う態度が定まらないことで読めていない本がたくさんある。たとえばフェミニズムをモチーフにした小説はその一つだ。ところで、たびたびジン(幽鬼と訳されていた)が登場するのが個人的には面白かった。この世ならざる存在が現れるのは、イランの場合は井戸でありカナートであり公衆浴場なのだ。民話や民間信仰的モチーフが散りばめられているところに愛着を覚えてしまった。ぜひ読んだ方の意見を聞いてみたいなぁ。

 

泉鏡花『化鳥・三尺角』

スモモ〜とは違った「この世ならざる」話を読んでいた。鏡花の描く幻想や怪異は現世と確かに繋がっていると思わせてくれる何かがある。初期の短編を集めたこの本は、鏡花の地元(であり、わたしの地元でもある)石川県を舞台にしたり、郷土の言い伝えを下地にした作品を含んでいた。どちらが前後になるかはあるけど、作品を読んでその舞台となった土地を訪ねるのが好きで、だからこそ金沢の東茶屋街や主計町、卯辰山、東京は深川の辺りが描かれていて個人的に読み応えがあった。

 

河合隼雄『こころの処方箋』

・横光健吾、入江智也、田中恒彦編『代替行動の臨床実践ガイド』

仕事においてやむなく心にかかってくる負荷のせいかもしれないけれど、最近は特に他人の言動が気になってしまう。翻って自分の他人に対する態度が適切かということも考え続けている。考える補助になればと思い読んでみた。心理士というのは話を聴くだけでなく、その中の問題を見極めて道筋を考え導くプロフェッショナルであると改めて思った。それでいて、正しいことだけを押し付けるのではなく、相手に合わせてチューニングをすることも出来る。もちろん一朝一夕には出来ることではないけど、コミュニケーションに迷った時に思い出したい。

 

アスガル・ファルハーディー『英雄の証明』

久しぶりにイラン映画。夫を誘い銀座のシネスイッチで観てきた。観賞後、イランって面目が重要視される国だよなぁとしみじみ思ってしまった。イランでの面目の思い出は色々ありますのでね。『別離』で娘役をしていた子がすっかり大人になって出ていて驚いた。観た方、気づきましたか。

 

・陳凱歌『さらば、わが愛/覇王別姫

フィルムの上映権が切れるというので特別上映を観に行った。事前に気づいてよかったけど、チケットの購入がなかなか争奪戦だった。0時数分前にアラームをかけて起きて、なんとか購入したけど3分くらいで売り切れていたらしい…。時代と運命に翻弄される苦しい話だけど、ところどころの幻想的で妖艶なシーンに目が離せなくなる。この作品には、ここには書けない思い出がありましてね…。

 

ピエル・パオロ・パゾリーニアポロンの地獄』

いくらフロイトの時代は終わったと言われても、エディプスコンプレックスな話は気になってしまうのが人間というものではないですか。オイディプス王の悲劇を題材にした作品。テーバイで神託を受けるシーンがあまりに狂気じみていてヒエッと声が出そうだった。砂漠も良かったです。

 

食べたもの/作ったもの

・京橋 ダバ・インディア ミールス

夫は絶対に付き合ってくれないミールス。大好きなお姉さんと。東京に来てもう十年近く経つのに、いまだに京橋と聞くと大阪の京橋を頭に思い浮かべてしまう。灼熱の日に食べる辛いミールスは尊かった。この後たくさん歩いて写真展を観に行ったりもして楽しかったな。次は池袋北口の中華街フードコートに行きたいですねぇ。

 

・青山 Buik キッシュプレート

また今月もBuikに。わたしは毎日これが食べたい。というか作れるようになるにはどうしたらいいの、こんなおいしい野菜のデリたち…。

 

・渋谷 ドン・チッチョ

梅雨の祝祭こと夫の誕生祝いで。今年は見事に梅雨明けして特別暑い日だった。メロンのケーキもチョコチップクッキーも、格好いい電車に乗ったのも楽しそうでこちらもニコニコしてしまった。いつまでも純朴なままでいてほしい。カンノーリがベストオブベストだった。

 

・青山 MAISON with ARTS&SCIENCE 栗粉のカヌレ

ミーハーなのでね。他の焼き菓子も食べてみたいなぁ。

 

・神保町 きのね堂 クッキーたち

近くで友人たちとイラン料理を食べた日に、もしかしてと思い立ち寄ったら営業日だった。その時は列は全く出来ていなくてスムーズに買えたよ。絵本の中に出てきそうなかわいいお店だった。ねこクッキーは夫と一緒に食べた。粉の味がしっかりする焼き菓子が大好き。それにしても大阪と東京で別々に、だけど同じ時代に同じペルシア語を学んでいたわたしたちがこうやって仲良くなれるというのはうれしいことです。

 

・シェパーズパイのようなもの

余っていたミートソースを使って。マッシュポテトがうまくいくと誇らしい気持ちになる。

 

・ズッキーニとカシューナッツフジッリ

パスタの中で一位二位を争えるくらいフジッリが好き。DANCYUのサイトに載っていたレシピを参考に。夫はズッキーニをポイズンだと言い放つ人なので、これは自分だけのお昼ごはん。

 

・クランブルブルーベリーマフィン

またまた、火の通った果物もシナモンも苦手な夫と作り分けるのが億劫で、手伝ってもらってそれぞれで作ったマフィン。夫のはプレーン。平日の夜に急に始めるおやつ作りがストレス解消を担っていたりする。

 

グラノーラ

ヤタロウズ・グラノーラがおいしくて、近しいものを自分で作れるようになりたいと思って作ってみた。結果は遠からず近からずといった味でした。クコの実を入れるとおいしいという発見があって良かった。

 

・食べられないフレンチトースト

わたしは好きじゃなくて食べられないのだけど、夫の大好物のフレンチトースト。食べられないわりにうまく出来ているらしい。

 

 

 

ティールは矢の月。先日、偶然に半弓を引ける場所を見つけて久しぶりに弓を引いた(元弓道部なのです)。あの頃のように、集中できるものがたくさんない方が心は満たされるのではないかと考えたりする。全てがあって、それでいて満たされることのない、乱雑なこの不可解な世界よ。この週末もジェラートを食べに行こう。