イラン暦1403年ホルダード月13日
数日前から喉風邪を引いたようで声がかすれている。ずっと自分の高めの声が好きではなく録音されたのを聴くのも苦痛だったのだけど、あることをきっかけに受け入れられるようになったという話はしましたっけ。今は咳をすると中型犬の吠え声のよう。
帰省と地元での過ごし方
・いちばん好きな公園と蕎麦屋
二年前に両親と行って気に入った公園と蕎麦屋へ夫を連れて行きたいと思っていたのが叶った日。金沢の中心部から離れていてちょうどいいドライブになるし、公園の広さに対して人も多くないのでのんびり過ごせる。わたしたちが散策中、足が弱っている父には芝生の木陰にピクニックシートを敷いて昼寝していてもらった。帰宅後にぼそっと「昼寝、気持ちよかったなぁ」と言っていたのを聞き逃しませんでした。
わたしが花を見つけてかわいいと言うたびに図鑑で調べてくれる夫が愛おしいので見てほしい。あなたの服のお花もかわいいよ。
お蕎麦屋さんはあいかわらずの人気で入店まで待つ必要があるのだけど、お店の周りも緑がふさふさしていて天気が良ければ気持ちよく待てる。お店の内装や器や花器も素敵。
両親と夫と四人で出かける回数も重ねてきて、毎回穏やかな時間で良いなぁと思う。
・牧場と喜多家
姉家族と一緒にいつもの牧場へ。夫はここで食べるソフトクリームを本当に気に入っていて(ポイントカードまで持ってる)、前回、前々回と来るタイミングがなかったのが悲しかったとのことで今回の帰省での優先事項になっていた。
山羊の家族の戯れや、うさぎが怖くて泣く甥っ子を見たり、木の幹で出来た遊具で遊んだり、これもまた人生で必要な時間である。ベンチに座ってそよ風を浴び、牧草ロールが出来上がるところを見届けた。子供の頃から何度も来ているのに見るのは初めて。
次の予定まで時間があってGoogle Map上で見つけた喜多家へ。母は仕事で何度か訪れたことがあるらしい。地元でも知らない名所や史跡ってけっこうある。
藩主や武士も訪れたことから屋敷の造りにいろいろな工夫が凝らされていて、忍者寺こと妙立寺のような面白さがあった。隙間時間に、と思っていたけど見どころたくさんで最後は駆け足見学になってしまったのですぐ再訪したい。
野々市市にも同じ名前で別の喜多家があるそうでそちらも行ってみたい。わたしが訪ねたのは宝達志水町の喜多家です。
・食べたもの
去年の夏も来たコメール。食べたものどれもおいしくて、夫とどれが一番好きだったかという話を帰り道ずっとした。ハーブのデザートがとても好みの味だったな。
こちらは初訪問のiomare。ワインが売りのお店だけど、わたしたちはあまりお酒が飲めず、でもノンアルコールの選択肢もいろいろとあってありがたかった。そういえばコメールもノンアルコール豊富だな。和食器に合わせる華やかな料理が見た目にも楽しかった。ブイヤベースは最後お米を足してリゾットにしてもらったら出汁がしみてとてもおいしかった。
せせらぎ通りが好きなのに存在に気づいていなかったジェラテリア、RITORTA。わたしが選んだのはバターマジョラムとかんきつ。焦しバターのまったりとした味とマジョラムのスッとした風味が最高の相性だった。かんきつはこのときはジューシーフルーツ。夏に東京からシンチェリータやアクオリーナのジェラートを送って、金沢から東京にこちらのジェラートを(自分たち宛てに)送ると楽しいかもしれない、と考えながら食べていた。
犀川沿いのpillows teaもはじめて訪問。うれしいのは曜日によっては予約制なこと。並ばずゆっくり楽しめるのと予定が立てやすくなっていいよね。夫はかためのプリンと追加でフィナンシェ、わたしは全粒粉のスコーン。好きなタイプのスコーンだった。飲み口が広くて浅いティーカップも、色の淡いすっきりした紅茶も好み。だけど紅茶の難しいいろいろは置いておいて、おいしさを楽しみましょうというスタンスも素敵だと思う。こちらのすぐそばにある犀川神社には、正月にイタリアから来た友人たちと散歩がてら参拝した思い出がある。お気に入りのエリアに好きなお店が増えるとうれしい。
先のRITORTAのジェラートを使ったチャイフロートもあっておいしそうだった。欲張ってプレーンスコーン、マドレーヌ、フィナンシェも持ち帰って翌日の朝ごはんにした(他家族へのお土産にもした)。
いつも順番待ちがすごい赤玉、冬以外の季節でお昼なら入れるのではと思い行ってみたらすぐに入れた。おすすめのライフハックです。薄い色・味の出汁で食べる金沢のおでんが好きで、他のおでんはどれを食べてもいまいちと思ってしまう加賀っ子。金時草のおひたしも見つけるとつい注文する。
お気に入りのtownsfolk coffeeでアイスチョコレートをテイクアウトして、向かいの玉川公園でベンチに座ってのんびり過ごした。townsfolkに来たのは、能登半島地震の支援を目的としたヒトノトのポストカードセットを買うためでもあった。写真がどれも額装したくなるような美しさ。このポストカードで石川から友人へお便りを書いた。
・好きな風景
上のような出来事の合間に毎日8kmほど散歩をして好きな風景の写真を撮っていた。
食事をしに行ったり買い物をしたり、物質的なことばかりに見えるかもしれないけれど、わたしが地元で過ごすのが好きなのは穏やかな気持ちでいられることが多いから。人が多くない場所でのんびり出来る、数ヶ月前から予約したり何時間も列に並ばなくてもお店に入れる、質の良いものやサービスを得るのに特権的な高いお金を払わなくてもいい(当たり前だけど必要な費用は払いたい)、そういったことが心がざわつくようなノイズを減らしてくれる。あとは目に入る空や海や緑の多さに、ほどよい広さのエリアにローカルで楽しいお店が多いこと、食べ物がおいしいことも(素材そのものがおいしいって大事)。
もちろん実家でのいざこざや天気の悪さ(雨が多いよね)、閉塞的なコミュニティ(昔から変わっている可能性もあるか)、そんなものもあるわけなので一年中住んでいての実感ではないし、東京からたまにやってきて楽しいところだけを汲んでいるという後ろめたさもある。でも、自分の心が穏やかであるために地元で過ごす時間も増やしたいと思う。
ピクニック
好きな果物の話、花の話をした。特別の起承転結を求められずにこういった話が出来るのがありがたい。それは自分の話のつまらなさをごまかしたいだけの気持ちだろうか。
道中で入手したファラーフェル、それぞれが持ち寄ったものを囲んで話しているとあっという間に時間が過ぎていった。温かいお茶でのんびりした雰囲気が増した気がする。梅雨と猛暑は避けつつまたすぐに開催したいですね。初めてお会い出来た方はとても素敵な人で、「それぞれのチャーム」という印象的な言葉を残してくれたところも好きでした。
人といると遠慮して写真が撮れない。楽しさをもっと伝えたいのに。
その他のいろいろ
・ピクニックの日の持ち帰りの品
好きなパン屋さんことTENERAはデニッシュ類が本当においしくて好きなのに、食べたことがなかったシナモンロール。しつこくないほどよい甘さですぐにわたしの中のナンバーワンおいしいシナモンロールの座についた(「ナンバーワンオイシイ」はアメリカのグランパと義祖母の受け売りの言葉)。
久しぶりのAVRANCHES GUESNAYでは小夏のタルト。初めて食べた小夏、イランのリームーシーリーン(甘いレモン)に似ている気がした。リームーシーリーンは、甘いと言いつつ甘さは強くなくてあっさりした水っぽい味。その水っぽさゆえに好きじゃない派が周りには多かったけどわたしは大好き。小夏はスーパーや八百屋で買えるのかな。見つけたら買いたい。
・都立明治公園 Meiji Park Market
Parkletが好きなわれわれ夫婦、新しく出来た明治公園のほうはまだ行ったことないね、ということで行ってみた。結論、日本橋のほうが雰囲気が好きでした。とても賑やかで活気はあるのだけど。公園内の「誇の杜」とかいうのも樹が小さいのももちろんあるけど、なんだかさみしい感じだった。Google Mapで見る限り緑は少なそうかも、と思いながら着いたら案の定で夫と一緒に笑ってしまった。
このタイプの椅子が好きで、触れることを許されたものは見つけると触って撫でてしまう。つやつやしたところと脚がしっかりと丸いところが好きなのかな。家にある椅子もそういえば丸いタイプの脚だ。ローズマリーとカレンツレーズンのスコーンがとてもおいしかったので、家でスコーンを焼けるようになったら真似してみたい。
・クッキーたち
連休明け頃、いろいろが重なって家にクッキーがたくさんあった。ARTS & SCIENCEと坂田焼菓子店のクッキー缶、姉が送ってくれたツマガリ、和歌山のお店、窓話のハーブクッキーとハーブティー。どれも違うタイプの味わいで、坂田焼菓子店は素朴だけどおしゃれな味、ツマガリはみんな好きな王道で絶対間違いのないおいしさ、窓話はハーブ畑にいるような心地になる爽やかな味。おいしいクッキーが家に常備されていると心が豊かになる。気がする。伊勢丹のフランス展で買ったガレットとサブレの詰め合わせ缶もまだある。
・自炊の記録
ベランダガーデニングでわさわさしているイタリアンパセリを乗せすぎたボロネーゼ、余ったソースでミラノ風ドリア風。やっと買ったグラタン皿はストウブのシンプルなもの。思ったより大きくて容量があったのでもう一回り小さいサイズも欲しい。
在宅勤務の日は地味な定食っぽいものを作る。ひとつめは夫が作ってくれた定食。無印のお盆を使って長いので、そろそろ気に入る逸品的お盆を見つけたい。
買ったもの
・BODEの苺Tシャツ、ADISHのニットハット
どちらもParkletの夫が着用していますね。こんなふうに共用している。大体背が高くスタイルの良い夫の方が似合うことが多くて悔しい。ハットは買ってすぐ連休中に大活躍した。
・金沢の古着屋で二着
竪町商店街はかつての金沢のショッピングの中心地で、実家を出るまで買い物をするのは大体ここだった。その後、金沢駅前に商業施設が出来て一気に客足が減ってしまい随分さみしい雰囲気になっていたのだけど、ここ一年くらいで古着屋の出店が増えているらしい。確かに、街の雰囲気と古着の相性が良い。そんなわけで初めて入ったユーズドのお店で一目惚れした、と言いつつ翌日に買いに戻ったのだけど、二着を東京へ連れ帰った。
ニットのベストはWales Bonnerみがある。何のタグも付いていないので、誰かのプライベートな手編みだったのではないだろうか。緑黄色野菜みたいで着ていると気分が上がる。菖蒲(あやめと思っていたけどしょうぶの方かもしれない)のプリントのTシャツは絶対にこの季節のピクニックにぴったりだと思って。
・DRIES VAN NOTEN 24SS
今季のドリスは好きなテイストじゃないかもと思っていたけど、実物を見るとかわいいのがたくさんあって、好きなだけ買えたらいいのにとつい欲が出る。メンズのパントンパターンのシャツと迷って、こちらのタイアップのシャツを買った。XSサイズなのに夫も着れてしまうビッグシルエットで、脇の部分が多めに生地を取ってあってムササビのよう。金具の重みや淡い色味も好き。
とはいえ諦めた方のシャツの柄も本当に好きで、わたしが着るとハワイのホテルのフロントマン(アロハシャツを着た日系のおじさん)ぽくなって諦めたけど、同じ柄のスカーフもあるので密かにそちらを狙っている。
・ヴィンテージのランプ
広坂にあるヴィンテージショップのNOWで見つけたランプ。このタイミングで買うつもりはなかったのだけど、これもまた一目惚れというやつ。ヴィンテージは出会うタイミングもあるし。北欧ものに苦手意識があり、北欧っぽさが強くないデザインなのも気に入ったポイント。確か出自はフィンランド。シェードもオリジナルのものらしく、ぼんやりと浮かぶ繊維の模様がかわいい。お店の方もとても親切で、買い物中の雑談も楽しくさせてもらった。旅先で少し大きめの買い物をするのも良い思い出になると知った。
帰省が本当に楽しくて、通っている病院でも主治医と「ちょこちょこ帰省すると体調にも良さそうですね」という話をした。五月の季節もちょうどいいのだと思う。とはいえ東京での仕事や生活もあり身軽には行けないので、捨て鉢にならずに生活するしかない。
帰省以外は、控えている試験に怯えすぎて本も読めず映画も観れず、非生産的な過ごし方ばかりしていた。試験が終わったら好きなことをして過ごすと決めている。
雨の季節になるけど、がんばりすぎないで身体も心も休めつついきましょうね。