Farvardin 1403

 イラン暦1403年ファルヴァルディン月21日

 

たったひと月で空気も街中の人の表情も変わってしまったような気がする春の始まりです。今日も、散歩していると小さな公園でローカルな花見が開かれているのをいくつも見かけました。

 

 

結婚記念日と梅花見

三月はわたしたちの月なので。急な階段を登ってたどり着くいつものレストランは、扉を開くと外とは別世界の空間に足を踏み入れたような気分になれる。お料理は(だいたい)毎年同じで安心する。二人ともが好きなお店に通う回数を共に重ねていけることがうれしい。ランチコースを食べ、夜には家でもケーキを。

こんなに大事に思ってくれる人と一緒にいられて、それだけで今世やりきった感じさえする。いつまでも仲良くいたいです。

これも恒例の梅を見るピクニック。近所のおにぎり屋のおにぎりと、和菓子屋の草餅を定番で持っていく。強風が続く週で、花は散り始めてしまっていたけど、天気は良いし隣で昼寝する夫の寝顔も見られて満足。

 

 

友人の訪問

Twitterで知り合った友人が家に遊びに来てくれた。どちらかというとわたしは友人を家に招く方だろうか、自宅を見せることで自分はこんな人間ですよ、というのを開陳し相手を安心させたいというか。それに加えて、イランではホームパーティーが盛んで、それに影響を受けているところもあるかもしれない。盛んなのは元々の文化慣習もあるだろうが、外には常に監視の目があり、リラックスして過ごせるのが家の中なのもあると思う。以前、猫の飼い方に関する本で(!)、アメリカ人は新しく出来た隣人をすぐに家に招いて一部屋一部屋案内する、それで打ち解けることでコミュニティを守る、というような記述があった。頭の中を見せるようで恥ずかしいと言われることが多い本棚も、わたしは友人になら見せられる。これはわたしの話なので、相手が別のスタンスであることは当たり前に理解している。

友人が多い方ではないので、誰にでもというわけではもちろんなく、そもそも家に呼ぶ時点であなたはわたしにとってスペシャルな存在なのですが。

前置きがとても長くなったが、友人が来た日、飼い主に似て人見知りなぺっちゃんもこのときは撫でを要求して擦り寄ったり、鳴いたり、目の前で眠ったりとスムーズに打ち解けていた。友人と波長が合ったのだろうか。

隠れているつもりなの…?

こちらが用意していた焼き菓子や、お土産にともらったクッキーなどでティーパーティーが出来てとても楽しい日になった。ぺっちゃんのお友達としてもまた来てね。

 

 

出かけたり食べたり

・新宿と代々木

久しぶりにおひつ膳田んぼで定食を食べた。右下のふき味噌がおいしい。ねぎしでも、脇役の味噌なんばんが好き。田んぼでは最後にお茶漬けスタイルにして食べる。

なんとこの日はおやつを2回食べた(さすがに時間は空けたけど)。Farm Mart Friendsのドーナツと、PARKERの月桂樹とオリーブオイルのアイスクリーム。Farm Martの隣のパン屋塩見でもカンパーニュとかたいビスケットを買って帰る。粉の味がする硬い焼き菓子が好きすぎる。オリーブオイルとアイスクリームってこんなに合うんですねと発見があった。行ったことはないけれど気になっているKasikiなどをはじめ、新種のフレーバーのアイスクリームが今後もっと流行るのだろうか。

 

・好きな蕎麦屋

年末年始に来日中の友人と出汁味のものをかなり食べて、しばらく出汁から離れたくなっていた。その出汁離れが今月復活しむしょうに蕎麦を食べたくなり、いつもの蕎麦屋へ。厚さを変えて提供される板わさ、硬くて太めの切り干し大根、この日たまたまあった舞茸ごはんがとくべつおいしかった。他にも季節のメニューがいろいろあり、菜の花とあさりの酢味噌和えがおいしそう。味はもちろんお店の雰囲気や使われている器ひとつひとつが好みなのだけど、どうもオペレーションがいつもスムーズではなく人には勧めづらい。わたしたちはそれを承知で好きで通うのですが。

 

・白木蓮の樹の下でパンピクニック

小竹向原のまちのパーラーでパテドカンパーニュが挟まれたサンドイッチとその他いろいろ家で食べるパンを買い込んで、少し散歩して広めの公園へ行った日。サンドイッチはパンの種類が選べて、わたしたちはいつもフォカッチャを選ぶ。透けそうなほど薄く、ナッツが化石のように見えるラスクも。

立派な白木蓮の樹があり、その下を陣取って転がり、まろやかな白色をした花を見上げながら本を読んだりした。途中、夫と二人どちらもうとうとと寝てしまったタイミングありこれまた幸せを感じる(身ぐるみを剥がされるような土地じゃなくてよかった)。自治体から強風注意報のアナウンスが流れるほど風が強い日で肌寒くもあったけど、振り返って思い出すとわたしの頭の中では穏やかに過ごした感じがしていて、都合の良い記憶だと思う。

 

日本橋周辺

催事でしか買ったことはないけど好きな店というのがあり、それを目当てで日本橋の百貨店を目的地にしていろいろと巡った日。

まずPARKLETでお昼を食べる。こんなお店の近くに住みたい、こんな雰囲気の家を作りたい、と来るたび毎回思っている気がする。ハムとリンゴのオープンサンド、ホースラディッシュソースが爽やかでルッコラがたっぷり乗っているのもうれしい。デザートにシナモンロール、夫は苺のデニッシュを選んでいて相変わらず甘味の好みがかわいい。毎回注文するオーボンヴュータンのパテだけど、この日は鶏のテリーヌだった気がする(メニューはパテ表記だったのでよくわからないけれど)。

スモールサイズと言いながらしっかり大きいカントリーブレッドと、キッズ用エプロンを購入。刺繍がかわいいエプロンは自分用です。Twitterのお友達にパイピング部分のファブリックはキテンゲという名前だと教えてもらった。好きなカフェの店員になった気分で自炊できるというのは気分が上がる。

このあと目当ての催事店と、EATALYでオリーブオイルとバーチディダーマ、これまたオーボンヴュータンのシャルキュトリーなどを百貨店で買う。レトロ趣味の自覚はないが、日本橋三越高島屋ではその建物のつくりにいつも感動する。

あとは日本橋に来たら買うことにしている削りたての鰹節。ナイロン袋に入ったざっくりとした姿が良い。

 

・ドーナツ2種

Farm Martのほかにも池袋のRacineと表参道のHIGUMAのドーナツを食べていた。わたしはシナモンを選びがち。南池袋公園は初めて行ったけど芝生上に人が鮨詰め状態だった(もちろんわたしたち含め)。でも、芝生を守るためにレジャーシートを禁止していたり、その代わりにブランケットや茣蓙の貸し出しがあったりするのが良いなと思う。わたしも布製のピクニックシートを手に入れたい。

 

 

自炊や家での記録

・おやついろいろ

見た目が似ているけど左はスパイスチャイ、右は余っていた製菓用チョコレートでホットチョコレート

 

今月のホームメイドベイク。定番になりつつあるクランブルマフィン(いつものブルーベリーと初めてのチョコレート)、人を招く日にカントゥッチ(ビスコッティよりこちらの名で呼びたい)。カントゥッチと同じ日にガトーショコラも。

今年も義母から一箱のブラッドオレンジを贈られたので皮でジャムを煮る。

 

仙太郎のよもぎふと餅と桜もち、桜の葉の味が好きなので葉が二枚で挟まれたこのお餅は贅沢でうれしい。buikのブラッドオレンジポピーシードケーキ、定番商品じゃないみたいだけどとても好き。上に砂糖漬けの皮が乗っているのもかわいい。

 

出社週の水曜日、早めに仕事を終えて急いで神保町のきのね堂へ。殺伐とした日々に好きなお菓子がいてくれることのありがたさ。

 

・自炊

菜の花のペペロンチーノ フズィッリ(小)、サワークリーム控えめのストロガノフ。

初めてストウブで黒米入りのごはんを炊いた記録、タリアテッレでクリームソースのパスタ。

 

・今月のお弁当記録

出社するときはなるべくお弁当を作って持っていっている。真ん中の焼きそば弁当は夫が作ってくれた。ありがとう。

 

・蒸し器でパンを温める

オーブンレンジのパンあたため機能を使うとかなり時間がかかるのと、スチームしているはずだけど若干水分が飛びすぎている気がして、最近は蒸し器で温めてから最後にオーブンに入れてみている。ジャストフィットすぎるリュスティックと蒸籠。

 

 

買ったもの

DRIES VAN NOTEN スウェットシャツ

夫が先に持っていて勝手に羨んでいたドリスのスウェット。今年こそと思いつつタイミングを伺っていたらかわいい色に出会えた。仲良くしてもらっているショップスタッフの方にも夫にも似合う色と言ってもらえたけど、最近ピンクっぽい色味のアイテムを買うことが多いな。いやでも年齢を重ねてこそ自分が好きな服を着るんだという強い意志もある。買ったときは桃色だと思ったけど、よく考えると桜色だろうか。でも桜は好きじゃないし、朱鷺色ということにしたい。

ドリスがデザイナーを退任するというニュースを聞き、ショックではあったけれど、自分はそんなに思い入れを持つほど購入していたブランドではないし…と何か反応することに遠慮してしまう。それでも学生の頃から憧れたブランドで、一目惚れで買った靴はヒールの高さゆえ歩きづらくてしばらくして手放してしまった思い出がある。ウィメンズは24AWがラストシーズンとのことで、やはり最後に何か手に入れたいなとは思う。このスウェットは昨年の春夏シーズンのもので、今期は今期で欲しいアイテムがいくつもあり悩ましい。

仕事終わりにデートだからと初めて着用した日、家を出てすぐ水溜りに足を滑らせ転び、尻餅をついてびしょ濡れで悲しかった

 

・RENATA BRENHA ブラックドレス

長いあいだ欲しかったブラックドレス。いろいろなブランドのものを見てレナータに心を決めた。名前がGAL DRESSというのだけど、英語での「ギャル」にはどんなイメージが付帯しているのだろうか。このドレスは生地違いで昨年も出ていたもので、今年はツヤっとした素材。歩くとふわふわと揺れるのがかわいい。前出のスタッフさんから、一癖あるかわいいデザインがお似合いですと言ってもらい、最近はそんなアイテムを選ぶことが増えている。ここでもピンクを着ていますね。ピンクに黒や緑、グレーの色合わせが好きです。

今年は服、シューズ、バッグ、アクセサリー類で合計15アイテムまでしか買わないことを目標にしている。これで4つ。アイテム数より予算が先に尽きそうだ…。

ここ数年で、値段は張っても大事に着られるようにと考えて選ぶことが増え、それと同時に手入れをすることも増えた。今年もすでにいくつか服の解れを修理に、染みは信頼できるクリーニング店に(都外で郵送で対応してもらっている)、靴はメンテナンスに出している。身につけたいアイテムの気分が変わることもあるだろうけど、なるべく長く大切にしたい。

 

 

読んだ本

泉鏡花『歌行燈』

引き続き鏡花再読中。寒い時期に読みたくて、昨年の秋の終わり頃から読み始めて長く掛かってしまいつつ読了。難解な文章に骨が折れて、気持ちが楽な方へとずるずると引きずられるとこんなふうになる。それでもやっぱり胸を打たれるような美が行間に満ちている。ストーリーとは関係ないが、松ぼっくりで炙って焼く蛤への言及に興味をひかれる。どうやら今でも桑名の名物のようだ。

本の写真を撮りながら自分が同じ色味の服を着ていることに気づく

 

・パオロ・コニェッティ他『どこか、安心できる場所で』

わたしはタブッキもラヒリも好きで、それだけでイタリア文学が好きなのかもと思っていた節があるが、当然ながら他にも数え切れない作家がいて、さらに現代の、となるとその名前さえ知らないことに気づかされる。この本で選ばれた作家たちはバックグラウンドが多様で、それこそがイタリアの現代の状況を表しているのかなと思う。

小野正嗣による序文からしてグッと来てしまったので少し引用したい。わたしが海外文学を読み海外へと足を運ぶ理由を明確に言葉にしてくれている。

海外の文学を読むときに僕たちをつき動かしているのは、他者への関心であり好奇心だ——そこがどのような文化と歴史を持つ社会なのか、そこで人々はどのように暮らしているのか。そのとき読書は、その場にいながら他社の文化のなかを旅することと同義になる。

旅がもたらす喜びとして、具体的な人との出会いを忘れてはならないだろう。言葉も通じなければバックグラウンドも異にする人と、思いがけず親しくなる奇蹟のような経験(中略)そんなとき僕たちは、人間のなかにあって言語や文化や歴史の障壁を越えて訴えかけてくる普遍的な何かに触れている。

 

・北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か—不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』

文学批評とフェミニズムは、どちらもあまり足を踏み入れていないものの、ずっと気にはなっている領域だ。難解な理論書を読む(かもしれないし読まないかもしれない)前に、両方に比較的気軽に触れられそうなこの本を図書館で借りた。文学だけではなく演劇や映画も含まれるけれど、読後は、自分なりの読み方をしてみること、そのためのツールとして何かの文学理論を利用すること、そのやり方についての知識が0から1にはなったように思う。今はフェミニズムの本を読んでいるところで、気になるけれどなんとなく苦手意識のある分野に触れることを継続したい。

こちらはトートバッグと同じ色味だった

 

本は読んでいたけれど、映画や展示会に出かける気力がなくてすこしさみしい感じがする。加えて言うと家で何かの映像を観るパワーもなかった…。観たい映画も気になる展示もあったのにな。出社することが増えて気力体力を奪われがちなので、平日と休日のバランスや、休日の過ごし方を見つめ直したいと思っている。

 

 

散歩中に見かけた好きな風景。

 

 

ホワイトデーにもらった毎年定番のチョコレート、いつもありがとうね。

 

 

毎月恒例のティー。蒸し暑い日だったからアイスに。

 

 

 

もうすぐぺっちゃんの誕生日、そしてそのあとは連休で帰省する。大したものではないけど試験を受ける予定もあり、今から怯えている。

木々に若葉がついて色とりどりの花も咲く季節ですね。楽しいことばかりではない日々だけれど緑の中に身を置いて心を静めてまいりましょう。