Ordibehesht 1403

 イラン暦1403年オルディーベヘシュト月11日

 

オルディーベヘシュトは火と真昼の熱の神様で、最善の真実を意味する。和風月名もそうだし、イラン暦の月名、ほかの言語や国での月名の意味を知りながら日々を過ごすのもなんとなく楽しいのではないか、と考える四月の終わりです。

 

食べたり話したり散歩したり

飯田橋周辺

好きだけどなかなか機会を得ないお店がある。他に人を誘おうかしらとか、周辺に他に用事がないしとか、なんだか延ばし延ばしになってしまう。この日はそんなお店のうちのひとつに予約を入れて訪問。小さいお店は入ると奥まった場所に席があり、控えめな照明も相まって洞窟のような安心感がある。すべてがつやつやで、控えめだけど芯の通ったおいしさうつくしさを感じる。食後はやっぱりおいしいしもっと頻繁に通おうねと話しながら腹ごなしの散歩へ。

神田川に沿って歩く。曇り空だけど花見客がたくさんいた。椿山荘の日本庭園に初めて足を踏み入れる。高低差のある土地でとても素敵なのに、人工的に作り出した雲海と鳥の声を流すスピーカーにがっかりする。ホテルの側にあるグリーンショップに寄り、肥後細川庭園へ。こちらも丘のような斜面があり、下りた先の池の前で焼菓子を食べる。この後も都合の良い駅までさらに歩き、合計で10km近く歩いた気がする。

 

・中目黒から学芸大学周辺

夜に学芸大で食事会の約束があり、その前に夫と中目黒のあたりで遊ぶことにした。

池尻大橋の鶏舎、まだ冷やし麺が始まっていないからか列に並ばずに入れた。おしゃれして町中華に入るギャップがなんだか新鮮。服には料理の匂いがついちゃうけれど。大橋会館のMassifでパンを買い、中目黒ではいくつかのショップで服を見る。いちど代官山に上がってヒルサイドパントリーで水分補給と食料品調達。また目黒川沿いの緑道を歩いてWaltzへ。あそこの大通りが以前から好きではなく、Waltzまで行く道中が苦痛だったのだけど、大通り裏の緑道は気持ちよくてあっという間に着いた。どうして今まで存在に気付いていなかったのだろうか。わたしはカセットテープ、夫はレコードを選んだ。

電車で移動して祐天寺のアクオリーナへ。暑い日でよかったと思うジェラートの冷たさ。ミントがかなり好きな味でまた食べたい。もう一つは何かしらの柑橘系。

学芸大を目指して歩きながらBOOKS AND SONSに寄る。事前に知らずに見た写真展、福持英助『GOD COUNTER』がとても良くて、自分が撮りたいと思う風景に近いものを感じた。何でもないようなもの、誰にとっても特別ではないようなもの、という説明があったような気がする。

 

イランや中央アジアコーカサスに興味のある友人二人とHÅNへ。二人と初めてお酒を飲んでみたいなという気持ちがあり、グルジアのオレンジワインを飲んだ。詳しくはないしアルコールにも弱いけど、素直においしいという感想を抱けたのでうれしい。飲んだ二杯のちがいもなんとなく分かったような。少しだけ知っている料理と、全く知らない料理はどちらもおいしく、旅の話や最近の関心ごとなど話せてとても楽しかった。グルジアで食べて大好物になったバドリジャーニが食べられて感動。クルミのペーストを茄子で包んだ料理。

 

松陰神社周辺

夫が仕事で自分ひとり休みの日、最近はずっと病院やピラティスで終わることが多く、なんとなくもう少し活動的に過ごしたいと思っていた。それを実行した日。夫は好きじゃないかもというのもあって後回しにしていた行きたいお店のひとつ、Indian Canteen AMIへ。とてもとてもとてもおいしかった。近所にあったらひとりご飯のたびに来ちゃいそう。行列ができるお店に一人で入るのって慣れなくてそわそわするけど、他のどこかでは代わりにならなさそうな味と雰囲気で行けて本当に良かった。

お魚くわえた白猫ちゃんを見つけてしまった…!

何軒か隣のPOPPYで焼菓子を買って、松陰神社の商店街の方まで散歩。MERCI BAKEでは夫へのお土産を買う。そのまま世田谷線沿いに三軒茶屋へ。途中、どこかへ吸い込まれそうな空気が漂う三叉路を見つけてしばらくぼうっと見つめてしまった。ほわほわとした陽気と花々に確かにあの世へ行けそうな気がした。

三茶でも行ってみたかったお店を訪ねることにしてtwililightへ。選書がすごく好みで、手に取りたい本がたくさん。ゆったりとした空気感も良くてのんびりと本を選べた。奥のギャラリーでのsaki・soheeの展示も面白く鑑賞した。アラブにルーツのある友人がオマーンに滞在したときの写真に、二人の会話形式の文章が添えられていて、街への視点や自分のルーツ、信仰についての会話を隣で聞かせてもらったような感じ。滞在先では積極的にモスクへ行ってお祈りをするとか、アザーンが時間を区切る役割をしているといった話などが特に印象に残った。

この日の買い物、MERCI BAKEのレアチーズケーキとtwililightで選んだ二冊(どちらも樹木に関連するのがわたしっぽいチョイスだな)。

POPPYで買った苺のタルトとスコーンは翌日の朝ごはんに。

 

・早稲田周辺

お誘いいただいてエドワード・ヤンヤンヤン 夏の思い出』を観に行った。焦点が当たるキャラクターが多くて、初めは混乱したものの最後にはひとりひとりに多かれ少なかれ感情移入していた。映画は人生を面白いものにするか、映画で他者の人生を擬似体験することはせず自分の人生だけを生きればそれだけで満足か、といった会話を若い二人がしているシーンがあった。最後にはその二人はどちらも苦く辛い経験をしてこの映画は終わり、人生に求める豊かさとは何なのだろうと今も考えている。 映画のあとは散歩がてら古書店、カフェと巡り、いろいろな話をした。そういえばこの日も川沿いを歩いた。神田川。目に入ったもののきらめきについて、あるいは悩みながらスタンスを留保しながら考え続けているさまざまなテーマについて。 

きらめきのひとつ、鳥のような見た目の格好良い花。天国のような原っぱがある公園を見つけたりした。友人と別れたあとも軽やかで爽やかな気持ちが続く日だった。

 

・青山周辺

去年、夫と二人で観に行った東京都美術館でのマティス展が楽しかったので、国立新美術館の『マティス 自由なフォルム』展へ。このために有給を取った。

六本木へ向かう前に代官山の一芯でお昼ごはんを食べる。炊き立てのつやつやのご飯に二人で感動しておかわりもした。

夫は国立新に来るのは初めてとのことで、前庭の様子や自由に座れる椅子が多くのんびりできそうなところが気に入った様子だった。休みの日に一人で来ようかな、と言っていて美術館でぼーっとする大男を想像するとかわいい。展示のほうは、大部分が撮影禁止だったからか、時間枠予約制でもないのに混雑せずゆったり観られた。たまたまかもしれないけど、個人的には写真禁止でも自分のペースで観られるこちらの方がうれしいと思う。マティスの色彩やモチーフに惹かれるのは、自分の元々の趣味なのかなと、最近好きで手に取る服や器を思い浮かべ考えていた。なんだか近しいところがあるので。

近くにあったBooks and Modernに寄ろうと思ったらけっこう前に閉店していたようでさみしい。建物含め憧れの本屋だった。テヘランに通ずる雰囲気を個人的に感じていたかもしれない。 ウエストで初めてお茶をする。大人の社交場といった空間が心地よい。ふかふかの絨毯、席間の空いた配置に丸テーブル、生花。

すぐ近くのSOLSO Parkでハーブの苗を買い、表参道まで散歩して服を見て帰った。 お茶をしながら、帰宅して図録を見ながら、展示の感想を共有しあえてなんだか尊く思う一日だった。

 

 

ほか食べたもの

・おやついろいろ

いただきものの柄がかわいいクッキー(夫と「何に見える?スイカかなあ?」みたいな会話をした)、こちらもいただきものの胡麻のクッキーとPOPPYで買ったアニスクッキー。

GYREのeatrip soilで見つけたVostokのクッキー(おこっぺ、オオジロワシ)、関口ベーカリーのショートブレッド

散歩中に見つけた駄菓子屋で買った懐かしい感じのキャラメル、学芸大に行った日に寄ったMaison romi-unieで一枚ずつ買ったクッキー。

 

・ごはんいろいろ

Massifのクロワッサンはずんぐりむっくりした形がかわいい。久しぶりのミスサイゴン

旬のあいだになんとか一度は買って茹でられたたけのこはうす味の炊き込みご飯に。オーボンヴュータンのソーセージ。

これも旬のうちにと思って平日にいそいそと作ったそら豆のポロウことバガリポロウ。適当に煮た鶏肉はイランのアドヴィエさえあればそれっぽい味に。

 

 

草花の話

わたしがあまりに樹木や草花に吸い込まれるように寄っていくからか、夫の方も小さな草花図鑑を手に入れていた。それを持って街中や公園を歩きながら、何か見つけると一緒に調べるのが楽しい(今のところその小さな図鑑には載っていない花が多いけれど)。祖父母もポケット図鑑を持って白山に登るのが趣味だったようだし、こんなふうに歳を取っていければいい。

二大すきな春の花、射干と山吹
もこもこモッコウバラと言いながら写真を撮る
家ではレモンの花が満開

 


読んだもの/聴いたもの

・ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの』

先月の読書に続いてフェミニズム本。Twitterで本や音楽に関して信頼している人が勧めていたこの一冊は、確かに良い入門書になった。専門用語が並ぶ学術書とはちがい、平易で読みやすい文章で書かれている。これまでのフェミニズム運動の歴史から、過去の活動家の功績、あるいは逆に過ちとなったこと、いまだに残る課題や未来への提案が必要なことなど、わたしが知りたいと思っていた情報が網羅されていたし、さらに勝手に抱いていた疑問にも答えてくれた。本の内容や感想を総括するのは難しいけれど、あらゆる差別に対抗して誰ひとり取り残さないこと、一人一人の存在を尊み誠実に向き合うこと、そのために活動しつづけることが肝心なのだというメッセージを受け取ったように思う。これはわたしが最も理想とするスタンスだけれど、自分のことを振り返るとまだまだフェミニストを名乗ることは出来ないと思う。でもこれからも関心を持って知識を付けていきたい。

 

David Sylvian "Brilliant Trees"

Waltzでの収穫。まだゆっくり聴けていないので帰省の新幹線の中で聴く予定。

 

 

ぺっちゃん五歳になりました。毎年言っているけど、ずっと赤ちゃんみたいな中身なのにどんどん大人になっていくね。たまに澄ました顔をするとうつくしくて高貴な猫に見えるぺっちゃん、ずっと三人で仲良く暮らそうね。

昼寝中の夫の足に乗っかっていた/リボン持つの上手だねぇ

 

明日から帰省。ニセアカシアの花が見られるといいな。