Esfand 1402

 イラン暦1402年エスファンド月16日

 

これは本当に東京の冬なのだろうかと思うような雨天が続く近ごろです。ひょっとすると春に向けた雨なのだろうか。家の中で過ごすぶんには、外で雨がしのつく様子を見ているのも良いものだと思えるようになったのは、(精神的にも)大人になれたからなのでしょうか。みなさんはどんな日々を送っていますか。

 

南の島へ

自分だったら選ばないだろうなと思う旅先の最たるもの、ハワイへ行ってきました。家族行事なので仕方なし。到着当初は、いわゆる「ハワイ」のイメージにあてられ(何しろハワイアン航空を選んだら、搭乗した瞬間からモニターでフラダンスが流れていた)、テーマパークのような作られた地区にも食傷気味だったのだけど、短い滞在ながら小道に入ったりいろんな区画を歩いてみるとローカルな部分も見られてそれはそれで楽しかった。

知らない土地を訪ねた際に毎回楽しみにしているものは、街と植物の観察とスーパーマーケットかもしれない。

ホノルル美術館、想像の何倍も良いスポットだった。中庭がたくさんあって、内と外の空間が曖昧になっていて、ほかの鑑賞者も少なくてのんびり過ごせた。もし近くに住んでいたら毎週のように訪ねて中庭でお茶をしたり読書をしたりしたい。

シャングリ・ラ イスラム美術館は残念ながら予約が取れず行けなかったのだけど(この美術館のためならもう一度ハワイを訪ねてもいいと思える)、姉妹美術館だからかホノルル美術館の方にもイスラム美術コーナーがあり、これもわたし的にうれしかった。イランのガラス花瓶やタイルなども鑑賞しつつ、アメリカで活動する現代イラン人アーティスト、ナヴィード・シナキの作品を観たのも良い思い出になった。詩を朗読する音声と、ドット絵のような古いPCスクリーンに似た映像、VHSのパッケージまで含めた作品と理解した。

navidsinaki.com

絶対に柘榴だと思うのです

たまたま企画でデヴィッド・ホックニー展もやっていた。

 

他に楽しかったのはファーマーズマーケットと植物園。ファーマーズマーケットでは地中海デリ屋さんを見つけて葡萄の葉のドルメを選んだ。久しぶりの味に癒されたな。おなかに余裕があったらタッブーレも食べたかった…。

雨が降って雨宿りもしたけど、旅先でも植物園を訪ねるのがわたしたちらしいデートだなと思う。アドミッションで園内案内と一緒に野鳥ガイドももらえるので、鳥を見つけてはガイドと見比べたのも面白かった。わたしは子どものころ野鳥園に通って育ったので。

 

東京でも一度行ったことがあるウルフギャング、本国はどんなものなんだろうねと夫と話して行ってみた。違いらしい違いはなかったものの、ステーキフライが豪快でおいしかった。モーニングもやっていると知り、これこそは日本で体験できないのではと行ったのがむしろ楽しかった。店内に日本語を話す客しかいない時間があって可笑しかった。ナイフとフォークで食べるサーモンベーグル。

 

インスタグラムでよく見かけていた高橋果実店のシャーベット、かなり大きくて10ドルくらいした。二人でひとつをシェアするのがおすすめです。

 

義母も一緒だったものの、夫が気を遣って二人だけで過ごす時間を作ってくれたのでありがたかった。個人がどうというより、あまり他者と長時間の集団行動ができない人間なので。そんなわけで二人きりでドライブしたり朝夕とビーチを散歩した時間がいちばんの思い出かもしれない。散歩していたら、ローカルの人だけが集まっているフードトラック集合場所を見つけたり、ホテルやマンションの隙間に普通の一軒家がまぎれて建っている光景も好きだった。

最後に見つけた赤い鶏冠の鳥、保安検査を超えてもオープンエアなハワイの空港

冬なのに夏服を着てテンションの上がる気分転換になった

 

円安なのでほとんど買い物していないし、これはハワイだからというものでもないけどニットを二着買った。どちらもWales Bonnerでブラウン系のノースリーブニット、でも色味も雰囲気も全然ちがうからと自分で納得して。夏はどうしても白っぽいトップスばかり着がちなので色物が買えてうれしい。

 

その他

ちょっと遅くなったバレンタインデー、今年もチョコレートクリームサンドのラングドシャ。大事そうに少しずつ食べ、なくなると悲しそうにしている夫が毎年愛おしい。

 

今日はそちらの好きなお店を選んでいいよ、と夫に言われてランチしに行ったDOWN THE STAIRS。この日のスープは菊芋だった。 

 

あとは出勤で疲れているうちにひと月が過ぎていった気がする。途中、愛しい友人に会って家族や好きなものの話をしてほっとする時間を得た。こういうリフレッシュが大事だよなと当たり前のことを思う。夫は夫でわたしの出社用にお弁当を作ってくれたり、家事を積極的に買って出て支えてくれている。あまりにもはやく過ぎ去る日々だけど、ひとつひとつ忘れずにいたい。

 

 

シッターさんが送ってくれる写真がおもしろ&かわいい

 

 

年末年始に月記をお休みしたのは、ご想像通り元旦に被災したからでした。物理的な影響はほとんどなかったものの、気持ちが落ち込んでしまっていました。東京に戻ってからも実家の両親のことや、地元とお里の能登のことが心配で、自分の非力さに虚しくなったり、いっぽうで普段の生活に戻っている自分を自分で責めてみたり、心が休まらなかったように思います。ハワイ旅行も、決まっていたスケジュールだったから決行したけど、本当に今自分は行っていいのだろうかとずっと悩んでいました。駅のホームや会社のフロアで何かの振動で揺れを感じるたびに地震かと思ってしまうのも辛かったな。微力ながら寄付もしているけど、被災地のことを忘れず関心を持ち続けなければと思っている(というより否応なしに持ち続けるだろうとも思う)。

これまでふるさと納税には反対の立場だったけど、自治体を指定して寄付したいという思いがあり、今回初めて寄付の形で利用してみました。

0か100かの話ではないので、出来るときに出来る範囲で支援を続けたいです。

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とはいえ、五年ぶりに会う友人が訪ねてきてくれたりして印象に残る出来事も色々とあった年末年始なので、後追いになるけれどどこかで月記を記したいと思います。

みなさんの周辺では白木蓮は咲きはじめているでしょうか。またすぐに。