イラン暦1404年アーバン月の記録
好きな街について考えるとき、好きなお店が集まっているというのももちろん好きになる理由になるけれど、なぜだか目を惹く光景があるとか、大きく空が見えるとか、自然と深く呼吸できているとか、そのようなことを重視している自分に気づく。


食べたり話したり出かけたり
・ジョージア料理を囲む夜
いつもの三世代で、神楽坂にできたばかりのジョージア料理レストランへ訪問。この日もまた、ちょうど三人とも海外へ行って帰ってきたばかりで、お土産交換会をしながらそれぞれが渡航先で見たり感じたり経験したことについて楽しく会話を交わした。スライスした茄子に、ハーブとスパイスを混ぜた胡桃のペーストを巻いた、バドリジャーニが好き。わたしたちの後ろに来た屈強そうな男性グループが山盛りのヒンカリを注文して手掴みで食べていた。



・三岸家住宅アトリエ
友人の提案で、文化財ウィークで公開されていた三岸好太郎・節子夫妻の住宅見学へ。案内してくれたスタッフの方によると、この時期の正午少しまえは、南東に面したガラス窓から陽光が差し込む様子が特に美しくおすすめとのことだった、確かにぽかぽかとした陽だまりが天井の高いリビングにできていて、ここにいるだけで幸せだと思えるような時間だった。反対に、壁を挟んで階段のある、やや北西に向いた側は磨ガラスで落ち着いた明るさだった。廊下なのだろうけど、縁側にも見える窓の隣のスペースは、能登の祖父母の家を思い出させた。
隣接するマンションの屋上に上がると風がぴゅうぴゅうと吹いていた。


近くにある、名店らしき喫茶店で懐かしい味のナポリタンを食べた。建築がすてきなのもそうだけど、中庭があってそこに置物の鶴がいるのが印象的だった。わたしの地元にも、中庭付のレストランがある。
散歩しながら中央線の方へ向かい、ジェラートを食べ、本屋を覗き、最後は手芸店でおのおの毛糸や編み針を買い求めた。誰かと一緒だと、それまで気になりつつもなんとなく億劫で後回しにしていた趣味も、えいやと思い切ってはじめられる。途中で通りかかったお寺の庭先で、エアブローで落ち葉を集めているおじいさんがいたが、秋風が吹いているので、ちゃんと集められているのかこちらが心配になった。あるいは、銀杏の実を集めていたのかもしれない。

・好きなトラットリア
見事に茶色で揃った食事。アラカルトで種類が多く、日毎にそのメニューも変わるのがうれしいお店。好きな定番メニューと、初めて頼むメニュー。季節のものとしてジロール茸を選択。





・焼き鳥とケーキと西荻
歯医者で麻酔治療をしたあとすぐに夫と待ち合わせて焼き鳥ランチ。麻酔が全然切れてなくて、唇のあちこちを噛んでしまい、翌日悲しいくらいに酷い口唇・口内炎ができていた。ランチのあとはホテルの日本庭園を見学したが、平日で人がほとんどいなかった。移動して西荻。気になっていた喫茶店で大きなシフォンケーキを食べた。夫のチョコレートシフォンはホイップクリーム、わたしの選んだレモンシフォンにはサワークリームが添えてあり、一口ずつ交換して味がちがうねぇと感心した。会話の内容が大体平和。後日話した友人に、こちらの喫茶店がわたし好みだと思ったと言われ、好きなものの傾向を知ってもらえているのって、なんだか恥ずかしいけれどうれしい。


ずっと来たいと思っていたのに機会を逃していた西荻の中国茶屋さんで気になる茶葉をいくつか購入した。武夷岩茶が好きなので、武夷山の紅茶も気になる。梅蘭香という緑茶は夫が選んだ。

・シルクロードバザール
秋の旅行で知り合った方を誘って、上野のお寺で開催されるシルクロードバザールへ行った日。偶然に出会った同世代の女性で、なんだか分からないが気が合うと言ってよいのだろうか、こちら側は話しているととても居心地がいい。人をかき分けてロシアのお菓子やアフガニスタンのナッツを買い、出店していたアフガンポロウを中庭で食べて一息ついた。Twitterの知り合いの方のお店ではカザフ刺繍のコースターを買わせてもらい、その隣のウイグル関連のお店では木製の大きめのスプーンを買った。
合羽橋で調理器具、御徒町からアメ横にかけては色々な食材を見つつ、歩きながら色んな話をした。旅行に興味を持ったきっかけ、職場でやるせなく思うこと、実家の家族との関係。いくつかおすすめしてもらった本も読みたい。旅行中、一緒に移動しているときに撮った写真に思わぬものが写り込んでいて、それをあなたに見せたいと思っていたと一枚の写真を見せてくれた。そうやって思い出してもらうこともうれしいし、写り込んだものもわたしにはとてもツボで、何気ない穏やかな会話ができる友人が新しくできたことに感激しっぱなしの日だった。

・他いろいろ
はじめてEATALYのレストランで食事をした。平たいパスタもおいしい。ミニサイズのパネットーネとパンドーロを買ったので、年末年始のどこかで朝ごはんに食べる。歩いて好きな喫茶店へ行き、一人ふたつずつケーキを注文してのんびり食べた。シュークリームを両手で持つ夫がかわいかったので写真に撮ってお気に入りフォルダへ入れた。



フォカッチャサンドを目的に向かったら、目の前で売り切れてしまい悲しかった日。グラノーラとヨーグルトを別盛りにしてもらった。水分で湿ったグラノーラが許せない派。ここのお店のマグカップやガラスのスプーンがずっと気になっているんだけど、なかなか手に入るものではなくて歯がゆい片思いをしている。

・自炊の記録
お弁当の週は少しずつ作り置きを足していく。寒かった日にポトフがあって我ながらありがたかった。


相変わらず地味なごはんが好き。

アランチーニを作ってみた。高校生のころよく行った、カプリチョーザで食べるライスコロッケが好きで、今もたまに無性に食べたくなる日がある。

イラン式コトレットを作った。インスタグラムで見たレシピで薄いナンのようなものも焼いた。これは夫も食べられる味だったのでリピありです。

好きな料理研究家のレシピを見て作った、蒸したさつまいもにパルミジャーノ、ごま、パセリ、ヴィネガー。自分では思いつかない味だ。

スコーン、林檎のタルト、カントゥッチを焼いた。




好きなお店のスコーンと、気になっていたお店のドーナツ。UFOみたい。買ったばかりのティーポットやカップがうれしくて、分かりやすくたくさん使っている。


着ていたもの
季節が変わったのと、長い旅行から帰ったのとで、久しぶりにお気に入りの秋冬服を着るのが楽しくて写真を多く残していた。旅行中はいざという時に手放せるよう、ぼろになった安い服を持っていくことが多いから、服装で気分が上がることはほとんどない。





目に留まった光景










ぺっちゃんは今日もお茶目でひょうきんで白くてふわふわしている。寒くなったからか、わたしの足のあいだや胡座の中でくつろぐのにはまっているご様子。






冬になると毎年気分が滅入ってしまう。冬季鬱的なものと思っているが何ものか分かっていても辛いのは辛い。人肌恋しいとかではなく、自分の存在価値が揺らぐような不安がつきまとう。だいたい日が暮れるとそんな気分になる。人と比べて何か特色なり長所なりがあるのだろうかと、若者のような悩みをいまだに手放せない。三人以上で集まるとき、自分だけうまく話せていないのではないか、誰かの記憶に残っているのだろうかと思ってしまう。SNSで見かける、人間関係がうまくできない人あるあるや家族環境が良くない人あるある、特定の病気・障害の人あるあるなどを見ては、自分もあてはまるのではないかと不安が増すし、内省的なのは自分がかわいいだけみたいな意見がぐさっと心に刺さる。中年になったのだから、めそめそしたのはやめて、そんな過去もあったねぇと明るくカラッと笑っていたいのだが、まだ程遠そうだ。SNSやインターネットを見過ぎないとか、昼間はなるべく日向に行って日光にあたるとか、せめてもの抵抗をしている。孤独を感じるとき、一人でも別にいいんだよ、でも遠くに同じように感じているひとがいるんだよと、誰にか分からない声掛けをする。これは自分に向けての言葉だったんだろうか。お風呂に浸かってお布団や毛布にくるまって、自分を守るだけの日があってもいい。
