イラン料理記#2 イラン式スパゲッティとナスのトルシー ماکارونی و ترشی لیته بادمجان

2023年1月28日(土)晴れ

 

前回の料理記から4ヶ月も間が空いてしまいました。もっと、こう、普段の生活の中でさらっと作りたいのですが、まだそこまでは板に付いていないようです。今年は月一で作りたいぞ、イラン料理。

今回は材料も揃えやすい、作り方も簡単、味も親しみやすい、そんなイラン式スパゲッティとイラン式ピクルスです。ミートソーススパゲッティはイラン料理なのかとお思いでしょうか、いやいや、れっきとしたイラン料理です。英語で検索しても「Persian Spaghetti」とたくさんのレシピが出てきます。

初めに一つだけ注意、ピクルスは味を馴染ませるために前日より前に作るのがおすすめです。

 

 

イラン式スパゲッティ

材料(2人分)

  • スパゲッティ(標準的な太さのもの。今回は1.6mm)  170g
  • 牛挽肉  120g
  • ニンニク  1個
  • 玉ねぎ  1/4個
  • じゃがいも  小1個
  • トマトペースト  大さじ1と1/2〜2
  • ターメリック  適量
  • シナモンパウダー(お好みで)  適量
  • 塩、胡椒  適量
  • オリーブオイル  適量
  • 水、湯  適量

 

工程

①スパゲッティを茹でる湯を沸かす。塩を入れておく。

 

②材料を切る。

 ニンニクと玉ねぎはそれぞれみじん切りにする。じゃがいもは洗って皮を剥き、2mm程度のスライスにして水にさらしておく。

 

③ニンニクと玉ねぎを炒める。

 フライパンに多めのオリーブオイルとニンニクを入れ弱火にかける。香りが出てきたら玉ねぎも加えて透き通るまで炒める。

 

④牛肉と調味料を加える。

 弱中火にして牛肉を加えて炒める。色が変わったら塩、胡椒、ターメリックを加える。ターメリックティースプーンに1杯弱くらいを入れた。

 

⑤スパゲッティを茹で始める。

 沸騰した湯は一度火を落とし、沸き切らない程度のグラグラした状態にする。そこにスパゲッティを入れ標準時間より長めに茹でる(今回は+2分にした)。

 

⑥トマトペーストとシナモンパウダー、湯を加え煮詰める。

 ④のフライパンにトマトペーストを加え炒めたらシナモンパウダー*1とひたひた程度の湯を加えて軽く煮詰める。

 

⑦仕上げ用の鍋の準備をする。

 多めの油を引きじゃがいもを敷き詰める。おこげを作るのが目的ですが、鍋はテフロン加工のものがおすすめ、くっつきやすい鍋を使う場合は温めてから油とじゃがいもを入れた方が良さそうです。*2

 

⑧スパゲッティとソースを鍋に入れて蒸す。

 茹で上がって湯を切ったスパゲッティとソースを交互に加え軽く混ぜ合わせる(混ぜてから入れてもOK)。蓋をして初めに2、3分中火にかけ、パチパチという音がしたら、湯を少し回しかけ、ごく弱火にして蓋には布巾を巻き30〜40分蒸す。

 

⑨完成。

 

ナスのトルシー

材料(小さめの瓶1つ分)

  • ナス  1個
  • トマト(フルーツトマトのような果肉がしっかりしたものがおすすめ)  小さめ1個
  • ニンニク  1/2個
  • 唐辛子(乾燥でもフレッシュでも)  少々
  • ワインビネガー(白でも赤でも)  60ml
  • 塩  適量

 

工程

①材料の用意。

 ニンニクは潰す、唐辛子は種を外して小さめに切る。ナスとトマトは洗う。

 

②ナスとトマトを直火焼きする。

 どちらも皮が剥ける程度まで直火で炙る。ナスは柔らかくなるのも目安。

 

③ナスとトマトを切る。

 冷ましてから皮を剥き、細かめに切る(このあとバーミックスで粉砕するのでこの段階でミキサーにかけたりみじん切りにしてもOK)。

 

④鍋に入れて火にかける。

 ニンニク、唐辛子、刻んだナスとトマト、ワインビネガーを鍋に入れ、弱火にかける。5〜10分ほど煮る。

 

⑤バーミックスで粉砕する。

 完全に混ざり切ったペーストにはしなくてOK。

 

⑥消毒した保存容器に入れ、冷めたら冷蔵庫へ移す。

 

⑦一晩以上経てば完成。

 

今日のメモ

メモ:マカロニかエスパゲティか

イランではこのスパゲッティ料理を「マカロニ」や「エスパゲティ(母音を伴わないs始まりの単語は「エス〜」と発音する)」と呼びます。個人的な感覚では「マカロニ」と呼ぶ人の方が周りには多かったような。辞書的にはどちらもイタリア語からの外来語みたいです。

 

メモ:アルデンテを冒涜

このイラン式スパゲッティの最大の特徴は麺をとにかく柔らかく茹でて蒸すこと。アルデンテを通り越して、やさしい一噛みで切れてしまうくらいがちょうどいい。そのために低めの温度の湯で長めに茹でるのです。食べるまでに、あるいは食べている時に、ぶつぶつ切れても違和感を持ってはいけない、これがイラン式なのです。

 

メモ:トルシーとは

トルシーはずばりピクルスです。色々な野菜をピクルスにしますが、このナスのトルシーのように細かく粉砕(と言うのかみじん切りと言うのかすり潰しと言うのか)するものは珍しいと思うのですが、他の国や地域にもあるのでしょうか。このタイプは、ペルシア語では砕いて混ぜた、という意味で「ترشی لیته トルシー・リーテ」と呼ぶようです。味が濃いので、インドのアチャールのようにちまちまと添えて食べるとちょうどいいです。トマトベースのポロウや煮込み料理に良く合います。

 

メモ:材料とアレンジ

  • トマトペースト

カゴメのトマトペーストを使っていますが、イランのものに比べると色が弱い気がする。原材料のトマトの種類の違いだろうか。今度イタリアのトマトペーストも使ってみたいと思います。色鮮やかにするために、肉などと混ぜる前にオイルでしっかり炒めるというのもありかもしれない。

トマトペーストの他にトマトピューレや細かく切った生のトマトを使っても大丈夫です。それらの組み合わせでも。今回のレシピも追加で生のトマトを1個入れてもよかったかなと思いました。

  • スパイスとハーブ

シナモンを使うのはおばあちゃん譲りの味。イランにはアドヴィエと呼ばれるミックススパイスがあり、その構成はポロウ用、煮込み料理用、などと用途によって変わります。スパゲッティであればクミン、ナツメグ、シナモン、生姜パウダーなどが入りますが、その他にもパプリカパウダー、カルダモン、コリアンダーシードなども入れて良いようです。お好きなものを。

今回はハーブは使いませんでしたが、こちらもお好みでオレガノやタイムなど、イタリアのボロネーズソースに入りそうなものを入れてもいいです。

  • 何の肉を使うか

イランでは羊肉か牛肉が使われることが大半ですが、おばあちゃんはソイミートを使って作ってくれたこともありました。一応豚肉は使えないことになっていますが、日本なら牛豚合挽きを使ってもいいですね。

  • トルシーの材料

おばあちゃんに唯一教わったのがこのナスのトルシーで、材料がシンプルなところが気に入っています。他の野菜も加えるとしたら、カリフラワー、にんじん、セロリが入ることが多いと思います。全て同じようにかなり細かいみじん切りで。スパイスやハーブを加えるなら、ターメリックコリアンダーシード、セイボリー、タラゴンコリアンダーイタリアンパセリ、ディル、ミント、それからブラックシードを使うみたいです。

  • ヨーグルトを添える

おばあちゃんは、このスパゲッティやトマトベースのインゲンのポロウに、ヨーグルトを添えて食べるのが好きでした。わたしはヨーグルト料理が得意ではないので試したことはないのですが、無糖のプレーンヨーグルトやライタを添えてもいいかもしれないです。

 

 

食後にはチャイを飲んでおなかを落ち着かせて、それからお昼寝してね。ではまた。

*1:炒める段階でシナモンパウダーを入れてしまうとすぐに焦げてしまうので気をつけること、とおばあちゃんから教わりました

*2:今回温めていないストウブを使ったらおこげがやや失敗…