Farvardin 1402

 イラン暦1402年ファルヴァルディン月14日

 

1402年のノウルーズ、モバーラクです。今年は暖かくていろんな花が早く咲き出している気がします。東京と地元と、近所で見られる花の種類や開花時期のちがいが、なぜか新鮮に感じられました。

 

春の祝祭

三月は、なんと言ってもわれわれの結婚記念日なので。しっかり有給休暇を確保して、二人でのんびりと過ごした。当日は好きな蕎麦屋へ久しぶりに行き、これまた好きな喫茶店でお茶をして、ケーキを買って帰り家でまたお茶を淹れるという贅沢な時間を過ごすことができた。

人生にはチャイが必要

 

当日は定休日だったいつものレストランへは、翌日に少しだけめかしこんで。毎年同じ料理を食べられる幸せと、少しだけある変化を観察する楽しさと、両方がある。食事は夜より昼にウェイトを置きたいタイプなのでもっぱらランチへ伺うのだけど、窓から入る日光でお皿がよりきれいに見える。二人と一匹の小さな家庭だけれど、いつまでもこんなふうに透き通って明るい光のような関係でいられたらいいなと思う。

 

今年の記念日の品はLRNCEのカップとボウル。ひとつひとつ手描きだから微妙に絵柄が異なる。それを選ぶ楽しさも含めて良い買い物だった。

底にハートが潜んでいるのも、持ち手が蒸し海老みたいなのもかわいい

 

月の初めには、これまた恒例の梅見へ行った。梅の樹は桜に比べると小柄で、そこにたくさん花を咲かせているのがかわいく思う。小柄なところになんとなく親近感も覚える。桜はねぇ、思い出込みでちょっと苦手。

レモンのような形をした草餅

行きがけの道で、メジロが隠れているのを見つけた

 

三月の帰省

今月もまた北陸へ。頼まれたわけではないし、こちらの助けを求めているということもないけど、帰省するとやはり両親はうれしそうにする。退院した父は思ったよりも元気そうだったので、それには安堵した。

滞在中、雨の降らない朝には母と散歩へ行き、近所の花が咲いているのを二人で愛でていた。あちらこちらでハクモクレンが見事な咲きっぷりだったし、一本の木なのに白と赤の二色の花が付いている椿があると、教えてくれる母がかわいらしかった。

ハクモクレンの花はひよこみたいでかわいい
実家の庭の乙女椿と木瓜の花

祖父母宅の庭はこの時期天国の様相

紫の木蓮も目立たないけどきれいで、やっぱり鳥みたい

小橋のお多福でうどんを食べた。お店がお多福に変わる前から家族でよく来る場所だったけど、一階の庭が見える席に座ったのは初めてだったように思う。お店の方が庭に咲いている花の種類を教えてくれた。祖父母は、初デートに兼六園下のお多福でジャジャ麺を食べに行ったそうだ。このジャジャ麺は石川発のもので、全国で知られているのとはちょっと違う。この日、母はそれを食べていた。

 

少しだけ、ひとりで過ごすための時間を取って、室生犀星記念館へ行った。「犀星愛鳥記」と題した企画展が気になっていたので。犀星が色んな文章で鳥について書いているのを読めたのが面白かった。現代人であるわれわれは、趣味ということでもなければ、日常の周りにあるものをゆっくりと観察する癖というのがない気がする。気になったらすぐ検索できる機械が手元にあると、常に頭の中が何か気になることでいっぱいになってしまって、じっくりと物を見たり考えたりすることが出来なくなっているように思う。樹も花も鳥も空も好きだけれど、もう少しのんびりと観察する姿勢を心がけたいなと思った。

この日は、香林坊から片町を通り、犀川大橋を渡って犀星記念館、また香林坊へ戻って東急の裏へ入ってせせらぎ通りを歩き、玉川図書館そばの気に入っているカフェでホットチョコレートを飲んだ。金沢を歩くのは本当に楽しいし気分転換になる。特にせせらぎ通りから長町武家屋敷跡や玉川のあたりが好きなので、よい散歩になった。

いつものケーキ屋(パティスリーと言うよりもケーキ屋、という感じのお店。だけども味は本格的で感動する)にも行った。ひとり二個ずつ買って二日続けて食べるのが実家流。

帰りの新幹線では能登牛のお弁当を食べた。春休みだからか、夕方早くだったけどどこもお弁当が売り切れていてびっくりした。笹寿しも買えずで悲しかった…。

 

 

読んだもの/買ったもの/食べたもの

・『須賀敦子全集 第2巻』

お正月に読み始めて、今月の帰省中に読み終えた。読んでいるあいだ、彼女と一緒に神戸だったりイタリアだったりフランスだったりにいるような気分に浸る。彼女もまた、周りのものを、特に周囲の人間をよく観察して文章にしていると思った。その視点はほとんどニュートラルで湿っぽさがないから、すらすらと読める。

 

・春めいた服

空気が冷たくても、空にはからっとした明るさが感じられるようになってきて、たぶんそのせいで気づいたら花柄や明るい色の服ばかり選んでいた。

Dries Van Notenのフラワープリント、憧れはあるけど自分に似合う色柄ではないしなぁと思っていたら、今年は好きな色柄が出ていて、すぐに試着しに行った。

galerie vieのうすいピンク色のペインターパンツ、全身淡い色味にして、このままほわほわとした雰囲気で着たい。

Isabel Marant Étoileのブラウス、これはセカンドハンド。絶妙な色味と首元のフリルが気に入った。ブラウスを少しずつ集めたいと思っているブランド。

よく見ると柘榴のような実がある

 

・印象的な食べもの記録

久しぶりのパン通販、どのパンも毎回おいしいのだけど、焼き菓子の方も日常に彩りを添えてくれる。今月のレーズンサンドスコーン、今まで食べたどのレーズンサンドよりも好きだった。

 

ホワイトデーにいつものチョコレート箱をくれた夫、デート中に見かけたMinimalのポップアップでもチョコレートとサンドクッキーを買ってくれた。なんて優しいのだろうか。選んだ'Arhuacoという名前のタブレットは、酸味がさわやかな味だった。前はたまに買っていたのだけど、ご無沙汰だったMinimal、ほかのタブレットも色々買ってみたくなった。

 

夫作の焼き鳥丼、おいしくてずっとにこにこしていた。くちゃくちゃの豆苗炒めはわたしが作りました。

 

 

 

毎月恒例の。表参道でも立派な花を見ることができる。東京憎しと思ってばかりいると視野が狭くなる。こうやって愛しさを向ける対象もあることを、散歩しながら思い出したい。

 

 

 

 

四月はぺっちゃんの誕生日。引き続き花を愛でながらの散歩をして、夫と少し遠出もしたいなと思っている。緑がたくさんあって、鳥の声だけが聞こえる、静かな場所で過ごせたらと願いながら、また来月。

 

昨年の三月の記録。

meigukhnm.hatenablog.com