Dey 1399

 イラン暦1399年デイ月9日

 いよいよ冬到来でしょうか。みなさんの街には雪は降りましたか。

 

一年でいちばん長い夜

 冬至の夜には家族や友人と集まって食事をしたり紅茶を飲んだり、あるいは詩を読んだりして過ごす。そんな風習がイランにはある。よく読まれるのはハーフェズの詩。詩集をぱっと開き、そこに書かれた詩で運勢を占ったりもする。 そして赤いものを食べる。スイカや柘榴。冬至の夜はアーザル月の最終日とデイ月1日の間の夜。冬の始まりを告げる夜でもあり、その夜を境に日が長くなっていくことから光が闇に勝利する夜でもある。

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私は毎年この冬至の夜を楽しみにしている。冬が好きだからかな。今年は夫の方から「今年の柘榴の日はいつなの?」と聞かれた。毎年冬至が近くなると、しっかりと実が赤い柘榴を探しているから。それにしても柘榴の日とはかわいらしい覚え方だなぁ。

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昼にはかぼちゃのリゾットを作った。イタリアの友人に昔作ってもらったのがおいしかったので、レシピを教えてもらった。一応日本の冬至ということで。

  

食べたもの/作ったもの

・コム・ア・ラ・メゾン 家族二人の慰労会

 去年もこの時期に訪れた大好きなビストロ。12月のご馳走はすべて夫婦の慰労会と思って食べている。

f:id:meigu:20201218202124j:plainf:id:meigu:20201218202153j:plain夫と二人の時は基本的に黙々と食べてサッとお店を出る。帰り道で料理の感想を言い合ったりする。f:id:meigu:20201218202312j:plainf:id:meigu:20201218202339j:plain

 

・三年越しの寿司屋

 三年前に健康診断で行った病院の待合室で年配の女性と知り合った。彼女は近くにある寿司屋の女将で、上京してから寿司屋探しに困っていた私にお店を勧めてくれた。ずっと頭の隅にはあったのだがなかなか機会が得られず三年経ってしまった。やっと訪問。大将も女将も人間味のある素敵な二人で、お寿司はもちろんおいしく他のお客さんとの会話も楽しい時間だった。日本でもイランでも年の離れた女性と仲良くなることが多い。末っ子気質のためだろうか。

 

・ルポ・バイ・パティスリー・イーズ

 新宿伊勢丹に寄った際に念願のeaseのケーキを買って帰る。

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私が選んだのはナッツとドライフルーツとキャラメルのタルト、抹茶と玉露のロールケーキ、夫にはフロマージュバニーユとアマゾンカカオのシュークリーム。何がどうと言うのは難しいのだけど、どこのパティスリーとも違う繊細さも大胆さも感じる味。

 

・Binowa Cafe

 こちらもずっと行ってみたかった各国の郷土菓子が食べられるお店。この日はフランスの郷土菓子が多く並んでいたのでガトーナンテと大好きなパンデピスを。

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中東やコーカサスのお菓子が出ることもあるみたいなので近くに来たらまた寄りたいな。

 

・今年も肉を焼く

 これは家での慰労会。去年も作ったローストビーフを今年も。メニューが大体決まってきたな。チーズとハムはイタリア食材店で買っている。余った分は次の日にサンドイッチにして食べた。

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デザートは毎年ガトーショコラ。この本のレシピで作ると本当においしい。ぜひレシピ通りヴァローナのチョコを使って作ってみてほしい。

honto.jp

 

・疲れた日にファラーフェル

 仕事でへとへとになった日にファラーフェルを作った。出来上がる前からクミンやコリアンダーの香りに癒される。

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・そのほか

 ステラおばさんのレシピを参考にチョコレートチップクッキーを焼いた。ショートニングはバターで、ブラウンシュガーは素炊糖で代用。

www.auntstella.co.jp

 グルジア料理のオジャクリとバドリジャーニを作った。オジャクリは豚肉とポテトを炒めたシンプルな料理で、バドリジャーニは胡桃のペーストを茄子で包んだ冷菜。初めて作る料理のレシピはなるべくアレンジを加えていないオーセンティックなものを探す。イラン料理もそうだけどこういう料理を作るのは私にとっては暮らしというよりもイベントで遊び事。

 

買ったもの

ユニクロのメンズのニット

 XLサイズを買ってだぼっと着てる。

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・ゴールドのチェーンネックレスとブレスレット

 左の二本のネックレスとブレスレットをブラックフライデーのセールで購入。ブランド名頭文字のMのチャームが付いていて、私の名前の頭文字もMなのでちょうど良い。アクセサリーは似たようなものばかり。指輪はそれぞれ思い入れのあるもの、小さなフープピアスは楽天で買ったもの。

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・ソファ兼ベッド

 ついに自室にソファ兼ベッドを導入した。自分だけの部屋なのであまりお金はかけられないからセールになっているのを狙って買った。

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寝転ぶと本棚が目に入って幸せ。ここで本を読んだりしている。あとは在宅夜勤中の夫の仮眠部屋にもなっている。物置然としていた部屋が、スツールとラグも買って一気に人がいる部屋っぽくなった。夫と「架空の娘の部屋みたいだね」と言いながら笑った。

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観たもの/読んだもの/聴いたもの

・サミラ・マフマルバフ『ブラックボード 背負う人』

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 映像美と言うと違うかもしれないけど、禿山を背景にした映像に見入ってしまう。あとすごいメタフォリカルな映画だった。どんな映画だったかと訊かれると答えに困るけど私は好きだったな。映画監督のバフマン・ゴバディが役者として出ていてちょっと笑ってしまう。

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・短歌の本

 後輩と本屋デートへ行ってきた。勧められるがまま短歌の本を何冊か購入。パラパラと読み始めている。短歌、良いのでは。手始めにアンソロジーを読んでみて自分の好みを知るのが良さそう、なんて素晴らしい提案ではないですか。その日はロシア料理を食べ散歩しながら古書店から大型書店へはしごして、言語や文学の話が出来てとても楽しい時間だった。人に会うと自分の口下手さに嫌気が差すのだけど(喋ると残念な人間ってこういうこと)、来年は少しでも面白い話が出来るようになりたい。切実よ。

 

・Bonnie "Prince" Billy  "I See a Darkness"

 彼のアルバムはこれしか知らない。仄暗い曲ばかりで詩的な歌詞は簡単には理解できない。だから何度も聴きたくなる。実際に今月だけで何度聴いただろうか。

youtu.be

 

 

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 今年はさすがに年末に帰省するのは諦めた。電話で伝えたら母がすごく寂しそうにしていて少し心が痛んだ。テレビ電話でまたオンライン帰省はするつもり。夫と二人きりで過ごす年末年始は初めてだなと思っていたら、彼は大晦日と元旦以外は仕事があるそう。なのでたくさん買った本をゆっくり読みながら一人でのんびりしようと思う。

 

 雪が降った街の様子が知りたいです。冬の思い出はありますか。ぜひ聞かせてください。

 

  شاید حقیقت آن دو دست جوان بود، آن دو دست جوان
  که زیر بارش یکریز برف مدفون شد
  و سال دیگر، وقتی بهار
  با آسمان پشت پنجره همخوابه می‌شود
  و در تنش فوران می‌کنند
  فواره‌های سبز ساقه‌های سبک بار
  شکوفه خواهدداد ای یار، ای یگانه‌ترین یار
  ...ایمان بیاوریم به آغاز فصل سرد
 فروغ فرخزاد، ایمان بیاوریم به آغاز فصل سرد

おそらく真実は あのふたつの若い手だったのだ、あのふたつの若い手
それは絶え間なく降る雪の下に埋まってしまった
そして次の年、春が来ると
窓の向こうの空と結ばれ
そしてその体の中で噴き出すのだ
解き放たれた茎の緑の噴出が
花をつけるだろう ああ友よ、たったひとりの友よ
信じよう 寒い季節のはじまりを…
 フォルーグ・ファッロフザード「信じよう 寒い季節のはじまりを」